人生初のサヨナラ打は、やっぱり「最高」だった。巨人大城卓三捕手(25)は振り負けなかった。同点の9回1死満塁。代打で打席に立つと、西武増田の直球に食らいついた。カウント2-1から内角低め146キロをフルスイング。「詰まった感じはあったが、しっかり押し込めた」とライナー性の打球は背走する右翼手のグラブを越えた。今季初のサヨナラ勝ち。無死一塁から阿部が送りバントをするなどチーム一丸の執念を、新人が結実させた。

 大当たりの予兆はあった。試合前練習で右翼フェンス前から遠投。一塁側ベンチ前の村田ヘッド兼バッテリーコーチへ返球したが、大きくそれて打撃ケージ横にいた阿部のフットガードに直撃した。大事にはいたらなかったが思わぬ暴投に「ヤバイと思いました」とヒヤヒヤしながら謝罪。約5時間後、今度は阿部からつながれた好機で右翼フェンス前のほぼ同じ場所へと大当たりの値千金打を放った。「阿部さんが送って、何とか1点取る気持ちだった」と胸をなで下ろした。

 最高のスイングを心がける。試合前の打撃練習ではとにかく力強く振り、芯でとらえることを意識する。交流戦では日本ハムとの3連戦で先発マスクをかぶり、中田、レアードらパ・リーグの強打者のスイングを間近で観察した。「やっぱりフルスイングすることが理想。自分もやっていかないと」と相手に恐怖心を与えるマン振りが重要だと心に刻んだ。

 試合を決め、仲間からペットボトルで祝福のシャワー。ずぶぬれのまま上がったお立ち台では阿部の名セリフ「最高でーす!」を叫んだ。8カードぶりの勝ち越しを決め、新人捕手としては球団史上初のサヨナラ打。最下位を脱出し、5位浮上に導いた。「この勢いを忘れず、明日からも戦っていきたい」。期待に応えるフルスイングでチームを勢いづける。【島根純】

 ▼ルーキー大城が代打でサヨナラ安打を放った。新人のサヨナラ安打は17年7月9日糸原(阪神)以来で、巨人では08年6月6日に途中出場の加治前がプロ初打席でサヨナラ本塁打を打って以来、10年ぶり。これまでサヨナラ安打を放った巨人の新人は先発か途中出場の選手で、新人の代打サヨナラ安打は球団史上初。捕手登録の新人がサヨナラ安打も巨人では初めてだ。また、巨人はこの試合が今季初のサヨナラ勝ち。今季、サヨナラ勝ちがなかったのは巨人と日本ハムだけで、チーム58試合目で初のサヨナラ勝ちは07年110試合目、84年108試合目、73年69試合目、91年59試合目に次いで球団史上5番目に遅かった。