伝統校の壁は厚かった。4年ぶり2度目出場の苫小牧駒大(北海道学生)は慶大(東京6大学)に5回コールド0-11で屈し、初の8強入りはならなかった。最速154キロのエース伊藤大海(ひろみ、2年=駒大苫小牧)が4回1/3、10安打7失点と打ち込まれた。チームをけん引してきた背番号11は「甘く入ったコースは上のレベルで通用しない。次は違った姿で戻ってきたい」とリベンジを誓った。

 0-1の5回に先頭から4連打を浴びた。その後、1死満塁の場面ではスライダーを右越えに運ばれ、走者一掃の適時二塁打を許した。この回だけで大量6点を奪われ、マウンドを降りた。「最後まで投げきるのが先発の役目。エース失格だなと自覚した」。ベンチに下がると、帽子をたたきつけ悔しさをにじませた。

 13日の初戦(日本文理大)では124球で2失点完投。チーム初の全国勝利に貢献した。連投で終盤は乱れたが「球自体は今日の方が良かった。言い訳にならない」。直球は前日と同じく常時140キロ台後半を計測。だがファウルで粘り、簡単にアウトにならない慶大打線に苦しんだ。「1番から9番までしっかり仕事をしてくる。徹底力が違った」と肌で感じた。

 課題に球速アップと落ちる球種の習得を挙げた。「勝ち進むために必要なものが分かった。胸を張って北海道に帰りたい。これをバネにしたいですね」。春の神宮で投げた220球の経験を秋に生かす。【西塚祐司】