今季の「日本生命セ・パ交流戦」も1試合を残すのみとなった。ヤクルトがセ・リーグの球団としては14年巨人以来の1位となったが、全体ではパ・リーグが9年連続の勝ち越しを決めた。日刊スポーツ評論家の里崎智也氏(42)がひと足早く交流戦の戦いを振り返るとともに、リーグ戦再開後の注目点や展望を語った。(記録は20日現在)

 パ・リーグは交流戦開幕前と比べて、楽天が借金を重ねただけで他の5チームはすべて勝ち越し、順位やゲーム差は結局ほぼ変わらなかった。これが交流戦のセとパの違いで、5割でいいと思っているセに対して、パは5割ではだめで、どれだけ貯金をつくるかが鍵になる。負け越せば大きく離されるため、パの球団は交流戦のノルマが高い。この違いも毎年セとパに差が出る要因で、今季も1位と最下位を除き、パが「Aクラス」を独占した。

 セの投手は普段から打席に立っているから、DH制のない試合では有利という意見もあるが、そんなことはない。歴代の交流戦でパの投手は7本塁打を記録しているのに対して、セの投手は0。むしろセの投手はバントを含めてもっと打撃練習をした方がいい。本来アドバンテージになるべき点が、全くなっていない。

 チーム別に見ると、オリックスは交流戦明けに向けて好材料がそろった。アルバース、田嶋の新戦力に西、金子らの先発陣、救援の山本、増井も安定する。心配なのはけが人が多いソフトバンク。モイネロ、森ら救援陣が崩れて落とした試合も多く、サファテ、岩崎の穴をあらためて感じる。

 ロッテはチーム打率、防御率とも12球団1位なのに、総得点は同10位。最高勝率でもおかしくないのだが、盗塁などリスクがある攻撃を増やしている割に得点に結び付かない。チーム本塁打は最少タイの7本で、外国人打者を補強するなり新たな策も必要だ。西武は中継ぎ以降の投手陣の穴を打線がカバーし切れなくなっている。総得点は2位だが、88失点はワースト2位タイ。抑えの増田も不調で、ウイークポイントの中継ぎを整備しないと落ちるのも早い。日本ハムは総得点1位と打撃は好調だが、防御率が悪く、勝ち切れなかった。楽天は12球団ワーストの総得点50点で、1試合平均は3点以下。梨田監督が辞任し、どう変わるか。(日刊スポーツ評論家)