首位広島が阪神との壮絶な点の取り合いを制し、再開リーグ戦3連勝を飾った。1-1の6回に5点を勝ち越したが、救援陣が打ち込まれて同点。それでも9回に再び5得点で粘る相手を振り切った。緒方孝市監督(49)は継投ミスを認め、野手陣の踏ん張りに感謝した。2位巨人とのゲーム差を今季最大タイの5・5に広げ、がっちり首位固めだ。

 楽勝ムードから一転、ヒヤヒヤの試合展開となったが、勝ったことで救われた。追いすがる阪神を振り切った緒方監督は、真っ先に打線への感謝を口にした。

 「最後にもうひと踏ん張り力を出し切って、9回に抑え投手(ドリス)から点を取って、勝ちをものにできた。野手の頑張りには、本当に頭が下がる」

 1-1の同点で迎えた6回、先頭の田中がカウント2ストライクから粘って四球。これを契機に鈴木の適時打などで5点を勝ち越した。その裏には2四球で1死一、二塁とされた先発岡田から継投。逃げ切りを図ったが2点を返され、雲行きが怪しくなった。7回には今村が3与四球と適時打を許して2点差。さらにアドゥワも代打中谷に2点適時打を許して、ついに同点に追いつかれた。

 9回に敵失と鈴木の10号満塁弾で再び5点を勝ち越したが、指揮官は自らのミスを素直に認めた。「5点差を追いつかれたのは、早めに継投に出た自分の責任」。もし9回に勝ち越せず同点が続けば、延長12回までの4イニングをブルペンに残った中崎、ジャクソン、フランスアの3人でまかなう必要があった。次カードで先発候補とみられるフランスアの登板も強いられる可能性があった。ベンチも肝を冷やしたに違いない。

 結果的にはこの阪神3連戦、すべて先制して1度もリードを許さず。総合力の違いを見せつけた。ここまで安定感を欠く先発陣に加え、勝ちパターンの今村もここに来て失点が目立ってきた。不安要素はあるが、変わらぬ得点力を見せる攻撃陣は頼もしい限りだ。

 セ・リーグで唯一、交流戦明け3連勝。緒方監督は「次、またマツダからしっかり戦っていく」と言って帰りのバスに乗り込んだ。明日24日から2位巨人との本拠地3連戦。チームの成熟度を高めつつ、全員で白星を重ねていく。【大池和幸】