ソフトバンクが4番柳田悠岐外野手(29)の9試合ぶりとなる17号ソロで、試合時間4時間42分に及ぶオリックスとの延長12回の激戦を制した。22日には「誤審騒動」もあったが、今度はリクエストいらずの文句なしの決勝弾だ。リーグ戦再開カードで2連勝。2位日本ハムにも1ゲーム差に迫った。

 文句なしの当たりだった。柳田が完璧な当たりの17号ソロを放ち、延長戦を制した。同点の12回1死、オリックス比嘉の甘く入った変化球を逃さなかった。右翼席中段に運ぶ、9試合ぶりの1発で試合を決め「非常にうれしい。早く勝利を決められるように、それだけを考えていました」と、額いっぱいの汗をぬぐいながら、4時間42分の激戦を振り返った。22日の同戦では、延長10回の中村晃の決勝弾を巡り「誤審騒動」に発展したが、この日はリクエストいらずの驚弾で胸のすく勝利を呼び込んだ。

 勝利への執念があらわだった。10回、先頭打者として右前への当たりで、右翼ロメロの打球処理がもたつく間に二塁へ。「1点勝負だと思って、1つでも先の塁を、と考えていました」。三塁走者だった10回1死満塁では、長谷川勇の浅い中飛でタッチアップ。中堅武田の好返球でアウトになったが、死力を尽くし1点を取りにいった。雨天中止の翌日はこれで4戦16打数9安打3ホーマーと、休養効果もバッチリだった。

 京セラドーム大阪に来ると、ちょっとした調子のバロメーターがある。試合前のフリー打撃で、最上段の5階席に気持ちよく打球を放り込む。柳田は「狙っているわけではないが、あそこに飛んでいく方がいい。どんな打球でも(スタンドに)入ればいいけど、高い弾道が理想ですね」。自打球で足を痛めた影響もあり、10日中日戦以降は本塁打どころか長打すら出ていなかったが、この日の練習ではバシバシと上段にたたき込み、復調を予感させていた。

 激闘を終えた工藤監督も「さすが4番という1発。柳田くん打ってください、と祈っていました。さまさまです」と最敬礼。リーグ再開カードで2連勝と好スタートを切った。【山本大地】