日本ハムが首位西武に1ゲームと迫った。沖縄・那覇で3位ソフトバンクと対戦。1回にオズワルド・アルシア外野手(27)とブランドン・レアード内野手(30)に連続本塁打が飛び出し、相手先発の千賀から豪快に主導権を奪った。ファームで本塁打を量産する清宮が1軍昇格できない助っ人の働きは、貧打に泣いた昨季の教訓を生かした補強のたまもの。先発上沢は完封と投打がかみ合い、首位が視界に入った。

 異彩を放つワイルドな助っ人が、壁をぶちこわした。アルシアがトレードマークのタトゥーを施した両腕で、決勝弾をたたき出した。1回2死一、二塁。千賀の3球目、高めに浮いた直球149キロを強烈にたたいた。「うまい本塁打になったね」。バックスクリーン右へ5号3ラン。チームが昨季、全敗(6敗)を強いられた苦手右腕を打ち負かしたのは、今季新加入したベネズエラ人だった。

 鳴り物入りで海を渡ってきた。大谷が抜け、優先的な補強ポイントだった「左の大砲」。ダイヤモンドバックス3Aのアルシアは外見から素行を怪しまれたが、メジャー通算44本塁打を生んだ圧倒的なスイングスピード、闘志を前面に押し出すスタイルが渉外担当の目に留まった。米国ビザ取得などが遅れ、チーム合流はキャンプ終盤。付け人と専属美容師を引き連れ、やってきた。

 外国人選手の中でも、異端児として圧倒している。付け人は6歳上の元プロ野球選手ジョンディ。アルシアの弟でブルワーズのオーランドら、家族もサポートしている。アルシアは「日本みたいに先輩後輩はない。実力社会さ」と信念を貫く。美容師には週1日、ヘアカットしてもらう。前カードから刈り上げられた髪を金色に染めてパーマをあて、気合を結果につなげた。

 南国沖縄で、新助っ人が波に乗り始めた。直近5試合で6打点。「暖かくなると、いい状態をキープ出来る」と頼もしい。栗山監督は清宮を再昇格させる時はベンチには置かず、スタメン起用が前提の方針。同じ左のスラッガー清宮が2軍で左翼の特訓に打ち込めるのは、アルシアの存在があるからだ。左のスラッガー2枚で西武を抜き去るシナリオ-。日本ハムには大きな上がり目がある。【田中彩友美】