栄光のユニホームをまとった主砲が決めた。DeNA筒香嘉智外野手(26)が、6回に広島野村から右翼席へ決勝の18号2ラン。6月26日阪神戦からの本拠地6連戦は、日本一に輝いた98年のビジターユニホームを着用。佐伯貴弘を抜く球団の左打者歴代単独トップとなる通算156本目のアーチで、首位広島相手に今季2度目のカード勝ち越しに導いた。

 確信を持って打球の行方を見届けた。1点を追う6回1死二塁。筒香は内角高め140キロを鋭く振り抜いた。「(先発)東が我慢強く投げていたので、何とか次につなぐ思いだった。感触は良かったので、いったかなと思いました」。DeNAファンで埋まった右翼席にたたき込む、リーグトップに並ぶ18号決勝2ラン。ここぞで決めた4番のひと振りだった。

 打ちたかった1発だった。日本一に輝いた98年ユニホーム着用初戦の6月26日阪神戦前。フリー打撃最後に放った打球が、右翼スタンド最上段ではねた。直撃したのはマシンガン打線の中軸を担った満塁男、駒田徳広氏の2000安打記念パネル。「何かの縁ですかね。ここからの6試合であんな打球が打てたら、ファンの皆さんも喜んでくれますね」と笑った。この日の1発は飛距離こそ届かなかったが、“予告”通りスタンドは大歓声に包まれた。

 打つことの面白さを教えてくれたのが、マシンガン打線だった。小学2年生だった98年。ちょうど野球を始めた年だった。「あのユニホームは子ども心に『よく打つなあ』って覚えていて。こんなに打てたらいいな、こんなに点が入るのって面白いなって思いながらテレビで見てました」。あれから20年。今度は多くの子どもたちに、同じ思いを抱かせる側となった。

 筒香にとって、少年時代の憧れは目標へと変わった。「すごい先輩方が、横浜というチームを作ってきた。あの頃のメンバーの皆さんに追いついて、いずれは追い越せるように精いっぱい頑張らないといけない」。98年以来の優勝だけを目指す今季。首位広島に2連勝したが、ゲーム差は7ある。追いつくには勝利を積み重ねるしかない。「チーム全員が勝ちに向かって一生懸命やっている」と力を込めた主将。あの日の筒香少年は、頼もしい横浜の4番となった。【佐竹実】