完全男が完全投球で完全復活だ! 富士大(北東北)のエース左腕・鈴木翔天(そら、4年=向上)がノースアジア大(同)相手に今年初の公式戦登板で先発し、3回無安打6奪三振無失点で準決勝進出に導いた。「久々のマウンドで真っすぐが高めに浮いたけど、変化球ではカウントが取れた。三振が取れたのは良かった」。昨秋のリーグ戦では完全試合を達成も、今春の開幕前に左肘痛を発症してリーグ戦と全日本を登板回避。昨年11月12日の明治神宮大会2回戦(東洋大)以来230日ぶりの公式戦登板で元気な姿を見せた。

 スタンドからは4球団5人のスカウトが熱視線を送っていた。プロのスピードガンでは自己最速149キロにあと4キロと迫る145キロを計測。ロッテ井辺康二スカウトは「久々の登板だけど、腕は振れている。あのチェンジアップは打てない。一級品」と絶賛。ヤクルト斉藤宜之スカウトも「秋も順調に投げてくれれば上位候補。今日の投球は春に投げられなかった悔しさが出ていた」とたたえた。

 自身の最速を伝え聞いた鈴木は「調子が良くない中で出たのはビックリ」と驚いた。今大会の優勝をステップにリーグ10連覇、秋の大学日本一に照準を定める。「春は投げられなくて、めちゃくちゃ悔しかった。秋、チームの勝利に貢献できれば、プロ入りも自然と付いてくる」。約半年間の沈黙を破った鈴木の復活ロードが、ついに始まった。