中日吉見一起投手(33)が勝ち運も味方につけ、7回3失点で3勝目を挙げた。ヤクルトに6回に勝ち越されたが直後に逆転してもらい、がけっぷちからの白星ゲット。先発予定だった6日の試合が中止になり、調整が難しい中、粘り抜いた。ナゴヤドームでのヤクルト戦は00年以来、14試合負けなしだ。2連勝と調子を上げるチームは、今日9日から前半戦最後のDeNA3連戦(横浜)に向かう。

 6回だ。アルモンテの打球が左翼手の頭上を越えると、7回の登板に備えてキャッチボールしていた吉見はわずかに「よし」と口を動かした。4-3と再逆転。続く7回を完璧に抑え、又吉にバトンを渡した。「しんどかった。KOだけはされないようにと思った。コンディションは100%じゃなかったけど、それは言い訳になりません」。朝から体調が万全でなかった。ヤクルトの用具運搬車が豪雨の影響で移動できず、先発予定の6日の試合がまさかの中止。集中力を高めていた吉見にとって、中止の影響は少なくなかったはずだ。

 不調は投球にも現れた。何とか制球でカバーも、4回に3連打で追いつかれ、1-1の6回にバレンティンに勝ち越し2ランを許した。「絶対打たれてはいけないところ。うわ、負けたと思った。でも石川さんは6回に点を取られるイメージがあったので、ひょっとして点が入るのではと思って見ていた」といたずらっぽく話した。

 内容は不満でも鈴木博からウイニングボールを受け取ると満面の笑みを浮かべた。「今日のテーマはとにかく、三男にボールを渡すことだけでした」。13日に三男穣(じょう)君が3歳になる。苦投を支えるモチベーションになっていた。

 ナゴヤドームでのヤクルト戦は00年に負けて以来、14試合不敗。ぎりぎりの状況からうっちゃりを決めたのも粘りがあってこそ。「今日は野手の方にたくさん助けてもらった。僕も心折れずにやれました」と感謝しきりだった。【柏原誠】