エースの力投で2年ぶりの2桁貯金ターンだ。日本ハム上沢直之投手(24)は8回3安打無失点でベンチに戻ると、栗山監督から握手でねぎらわれた。自己最多タイの8勝目で前半を締め、「区切りの気持ち良さが違う。勝って終われて良かった」。打線も今季最多19安打を放って12得点。大爆発を呼び込む快投だった。

 新ソフトバンク・キラーだ。今季は3戦3勝。計24イニングで1失点と、ほぼ完璧に抑えている。特に柳田には、めっぽう強い。この日も4打数無安打に抑えた。通算では26打数2安打。昨季から15打席連続で抑え込む。キーマンを封じられるから勝てる。

 前回登板の悔しさを晴らしたかった。3日西武戦では6回5失点で黒星。「打たれても、応援してくれる人がいる。その人たちのために、僕は常にあきらめずに投げないといけないんです」と言った。その気持ちが大事だと再確認したのが、サッカー・ワールドカップ(W杯)での日本代表の奮闘だ。小学生時代はサッカー少年。DFだった。「見ていて熱くなった。感動した。プロ野球も同じ。僕らも心を動かせるはず」。同じアスリートとして、刺激を受けた。

 投打に完勝で前半戦を終えたチームは、日本一になった16年以来2年ぶりの2桁貯金でシーズンを折り返す。上沢は「後半は、もっと(勝利を)求められる。その期待に応えるのは簡単ではない。前半のことは忘れて、ゼロからスタートする」。7月やや調子を落としていたチームも上り調子の3連勝締め。逆転優勝へ機運は高まる。その中心に上沢がいる。【木下大輔】