勝負どころの100球目は、新兵器・スラッターを選んだ。DeNA浜口遥大投手(23)はヤマ場を迎えた。2点リードの6回2死三塁、3打席連続安打を許している同学年の京田を迎えた。「個人的に打たれていた。絶対抑えてやろうと」。空振り三振に仕留め6回2失点。今季初勝利でチームの連敗を3で止めた。

 生みの苦しみを味わった。オフに高速スライダー「スラッター」を取り入れた。だが開幕直前に左肩痛で1カ月出遅れ。投げても9試合連続勝ちがつかなかった。「気分転換。流れを変えるためもあった」とワインドアップを試すなど模索。「1年目だったら気持ちの浮き沈みがあったと思う。練習にもそういう雰囲気を持ち込んでしまっていたが今は違う」。2年目の進化を示した1球だった。

 猛暑の中、最後の夏を思い出していた。前日まで2軍練習場で調整。うだるような暑さは、三養基高3年の夏も同じだった。佐賀県大会3回戦敗退の翌日、高校の敷地を出た自販機の前に3年生が集まった。禁止されていた炭酸飲料で乾杯。選んだ緑色のマウンテンデューに「本当に1口も飲んでいなかったので、あの味は一生忘れられない」。苦しんで手にした白星の味も格別だった。負けたら最下位の一戦で勝利。昨季10勝だけに「1勝じゃ貢献できていない」。ハマの浜ちゃんが起死回生のキーマンになる。【栗田成芳】