阪神藤浪晋太郎投手(24)が後半戦初マウンドで、自己最短KOを喫した。プレーボール直前の大雨のため、試合開始が1時間12分遅れた広島14回戦(甲子園)。制球に苦しみ、1死しか取れず、2安打4四球で交代を告げられた。5失点で3敗目。首位広島との差を詰めるはずが、カード負け越しで11ゲーム差の5位に。チームにとっても長期ロード前のラストゲームは、大荒れの悲しい結果に終わった。

 うつむいたまま、香田投手コーチがマウンドに来るのを待った。天を仰ぐことも、藤浪には出来なかった。2番手岡本に帽子をとって謝罪。ベンチに戻る途中。スタンドからは、なぐさめと励ましの拍手が起きた。打者7人に1/3回、2安打4四球。失点は5。必死に修正を試みたが、何も出来なかった。プロ最短の、あまりにも悲しいノックアウトだった。

 藤浪 どうしようも出来なかった。自分のなかでいろいろと試みたり、試した部分もあったんですが…。チームに申し訳ないです。

 天候にも嫌われた。試合開始予定の約3分前に豪雨に見舞われた。スイッチは入っていたがベンチに戻され、試合開催も危ぶまれる状況に。雨が弱まり、整備が終わったのが午後7時過ぎ。「やりにくかったのはやりにくかったですが、それが理由ではありません」。午後7時12分のプレーボール直前には主審がホームベース前の整備を要求。エアポケットに入ったように、藤浪は投球を見失った。

 先頭田中に四球を与え、安部には中前打。丸にも四球で満塁。鈴木は遊ゴロに打ち取ったが1点を失った。松山にも四球で、満塁から西川に2点二塁打を浴びた。岩本に4球連続ボールの四球を与えたところで、金本監督がタオルを投げた。左打者を並べた広島打線に対し、投じた32球のうち19球がボール。19日の2軍での調整登板では好感触を得て「1週間いい感覚で練習出来ていたので、余計に悔しい」と視線を下げた。

 金本監督から後半戦のキーマンに指名されていた。ただ、期待を寄せていた指揮官も試合後は「まあ、見ての通りです。(次回は)厳しいかもな、ちょっと」と落胆。2軍再調整を決めた。直球は150キロを軽くオーバーし、切れ味鋭いカットボールで空振りを奪う場面もあった。誰もが知る潜在能力。反撃のキーマンがこんなところでくじけてはいけない。悔しい降板の後でもベンチ最前列で声をからし続けた姿に、それでも虎党は期待を続ける。【池本泰尚】