広島が、優勝マジック点灯に王手をかけた。ヤクルト14回戦(神宮)で強力打線が6本塁打と爆発。4番鈴木誠也外野手(23)は1回に先制15号3ランを放つと、7回にダメ押しの16号2ランをたたき込んだ。2回には丸佳浩外野手(29)が22号ソロ。3回には「タナキク連弾」が飛び出すなど13得点と圧勝した。広島の過去の最速優勝マジック点灯日は昨年の8月8日だったが、今日2日に勝てば球団史上最速点灯となる。

 神宮花火ナイターが行われる5回裏終了を待たず、広島打線の花火大会が、ドッカンドカンと開演した。打線に火をつけたのは、4番鈴木のバットだった。1回1死一、三塁。カウント3-1から中に入ったカットボールを捉えた打球は左翼席に突き刺さった。2回には二塁打、3回には右前打。広角に打ち分け、サイクル安打に王手をかけたが、5回の第4打席は二塁打。7回の打席は、打球を高々と舞い上がらせ、バックスクリーンに放り込んだ。「サイクル超え」の5安打7打点の活躍だ。

 今季は右足首手術から復帰。開幕直後には下半身の張りで離脱し、後半戦も自打球を受けて欠場したこともあった。「今年は数字なんて気にしてない。チームが勝てれば、それでいい」。個人タイトルよりも、昨年できなかった優勝決定試合でプレーしたいという一心だ。昨季終盤の戦いを病室で見た苦い記憶は今も鮮明に残る。昨年の打率3割、26本塁打、90打点の好成績も、何の慰めにもならなかった。「8月は苦しい戦いになる。昨年僕はケガをしてしまった。こういう暑い日は点を数多く取らないといけない」。優勝に貢献することで報われると信じている。

 鈴木の思いに呼応するように、打線が快音を連ねた。2回に丸がソロ。勢いはとどまるところを知らず、3回には代わった星からも、田中と菊池の連弾。6回にはバティ弾も飛び出した。そして7回の鈴木の2発目…。緒方監督(写真)は「(サイクル安打を)狙って欲しかったけど、最後に本塁打で締めてくれたね」とたたえた。

 たくましくなった鈴木にけん引され、4月24日に首位に立ってからセ・リーグの2位球団に13勝1敗。今日2日、ヤクルトに勝てば優勝マジックが点灯する。緒方監督は「戦っている我々には関係ない」と意に介さず、監督通算300勝に王手となる299勝も興味を示さない。3連覇を目指す緒方広島にとって、次の1勝はあくまでも通過点。頂点にたどりつくまで、歩みは止めない。【前原淳】

 ▼広島がヤクルトに連勝し、今日にも優勝マジックが点灯する。広島がヤクルト戦に○でM42、ヤクルト戦に△の場合は、DeNAが△か●でM43が出る。昨年の8月8日を抜いて球団最速M点灯日となるか。