横浜の空高く、4番の証しをかっ飛ばした。巨人岡本和真内野手(22)が特大の1発を放り込んだ。同点の4回無死一、二塁。DeNA浜口のチェンジアップに必死に食らいついた。追い込まれてから外角低めを2球、何とかカット。粘りながら形勢をひっくり返した。8球目。わずかに中へ沈んだ球を逃さなかった。体勢を崩されながらも、粘り腰ですくい上げた。「体が開かずに粘れた。奇跡です。全く合っていなかったチェンジアップに引っかかってくれた」と19号3ランを左翼席中段へと運んだ。

 近未来を予感させるアーチだった。東京オリンピック(五輪)まで2年となった7月24日。侍ジャパン稲葉監督が三塁にコンバートしても岡本を使ってみたいという記事を見た。「リップサービスだと思いますが光栄なこと。うれしいです」と受け止めた。侍ジャパンに名を連ねるにはチームの主力となることが最低条件だと分かっている。だから「あと2年間しかない。どれだけ成長できるか」と意気込む。五輪会場の横浜スタジアムでの1発を積み重ねることも、日の丸へのステップとなる。

 期待を受ける背中が、日増しに大きくなってきた。この日、前巨人でBC栃木・村田が区切りの会見を行った。憧れの先輩がつけた背番号25を今季から継承。開幕前に2ケタ本塁打を指令され、4番に座って迎えた後半戦開始前には「まだまだこれからだぞ。がんばれよ」と激励された。かけられた言葉の数々を思い出し「背番号に恥じないようにやりたい」と思い切りバットを振った。

 8回にも適時打を放ち4打点でチームを連勝に導き、2位に浮上させた。「残り試合は少ない。出せる力を全部出せるように」。侍ジャパンの前に見据えるのは巨人の勝利。期待のかかる勝負の8月に、岡本が1発回答を示す。【島根純】