日本ハムが痛恨の敗戦を喫した。西武12回戦(メットライフドーム)はミスで手痛い黒星となった。1点リードの7回1死満塁の守備で、この回から二塁守備に就いていた石井一成内野手(24)が適時失策を犯し、決勝点を奪われた。首位との直接対決第1ラウンドは自滅で落とし、ゲーム差は3・5に広がった。

 結果的に、大きなエラーとなった。7回1死満塁の守備。この回から二塁守備を任された石井一が、痛恨の悪送球をした。浅村が放った打球は、併殺打にうってつけの遊撃へのゴロ。石井一は素早く二塁ベースへカバーに入り、遊撃手・中島からの送球を捕球。この時点で、浅村は、本塁と一塁の中間点を走っていた。送球を急がなくても、十分に間に合うタイミングだったが、送球は一塁手・中田の右側へ大きくそれた。

 痛恨の適時失策で二塁走者まで生還し、西武に決勝点を奪われた。試合後、石井一は「今日は、すいません…」。二塁へ向かう走者が視界に入ったのか、と問われても「関係ないです」。うつむきながら、声を絞り出した。金子内野守備コーチは「1つのプレーがチームメートの人生を変える。慌てるプレーではなかった」と、あえて厳しい言葉で振り返った。

 悪夢のシーンが訪れる直前から、両ベンチは激しく駆け引きをしていた。先発上沢が連打を浴びて無死一、三塁となったところで吉井投手コーチがマウンドへ。1度は一塁側ベンチへ戻ったが、西武が代打栗山を起用すると栗山監督は宮西への交代を決断。同コーチが1分足らずで2度もマウンドへ向かう、珍しいシーンもあった。

 栗山監督は「向こう(西武)の代打(栗山)のコールを待っていた」と説明した。じっと日本ハムの動きを見てから代打を告げた西武、栗山が起用されることを予測しながら、慌ててしまったように見えた日本ハム。結果論だが、受け身に回った駆け引きにも敗れてしまった。同監督は「それ(ミス)も含めてトータル的に野球。我々が野球をしきれなかったということ」と、振り返った。試合中に雷鳴がとどろきゲリラ豪雨も降って蒸し暑さの増したメットライフドームは、この日の日本ハムにとっては本当に重苦しい場所だった。【木下大輔】