今季10度目の延長戦は、勝敗がつかずに決した。日本ハムは楽天14回戦(札幌ドーム)で延長12回、2-2で引き分けた。1点を追う9回1死三塁、中島卓也内野手(27)が起死回生の同点適時打。3年ぶりとなる1試合5安打の固め打ちで打線を引っ張ったが、チームは決勝点を奪えず。4連敗中の楽天相手に勝利を逃し、首位西武とのゲーム差は4に広がった。

 神懸かり的な打撃も、白星にはつながらなかった。日本ハム中島が右へ左へ、中堅へと打ち分けて、実に5打席連続安打。「勝ちたかったけど…」。先頭の延長12回には、15年5月21日楽天戦(コボスタ宮城)以来となる1試合5安打でサヨナラ勝ちの場面を整えたが、後続を封じられて、チームは今季2度目の引き分けに終わった。

 9回に勝ち越され、1-2で迎えた直後の攻撃。途中出場の田中賢が四球で出塁すると、犠打で送って1死二塁。この試合、乗っていた中島が、打席に立った。2球で追い込まれたものの、3、4球目をファウルに。5球目の暴投で走者が三塁に進むと、6球目を再びファウルにし、7球目の149キロをきれいに右前へはじき返した。後半戦に入って無失点を続けていた楽天の守護神ハーマンから、執念で奪った1点。「前進守備だったので、とにかく前に飛ばそうと思っていた」。値千金の同点適時打に、ポーカーフェースを崩してガッツポーズだ。

 「前回の楽天戦(7月24~25日)あたりから、タイミングの取り方やバットの出方が良くなってきていた」と、手応えはあった。真骨頂の粘りに加えて、ヒットゾーンへ打球を飛ばすことに手応えをつかみつつある。試合前に中島と話しをしたという栗山監督は「去年から自分の打撃を変えようとやってきたことが、形になってきたと言っていた。タクが引っ張ってくれたのが大きかった」と、最敬礼だ。

 楽天には5戦連続白星なしと苦戦中。栗山監督は「選手が頑張っていたので、勝たせられなくて申し訳ない。監督の責任」と悔しさをにじませたが、中島は「勝ちたかったけど、負けなかったので、次につながる」と前を向く。選手会長が見せた粘りは、6連戦が続く夏場の勝負で、きっと大きな強みになる。【中島宙恵】

 ▼中島が1試合5安打をマークした。15年5月21日楽天戦(コボスタ)の6打数5安打以来、自身3年ぶり2度目。当時は菊池から3安打、福山と武藤から各1安打を放った。今季のチームでは、7月9日ソフトバンク戦(東京ドーム)で6打数5安打だった西川に続き2例目。現所属選手の1試合5安打は田中賢、中島、西川が2回、レアードが1回記録している。