広島が劇的なサヨナラ勝ちを飾った。2点を先行される展開だったが、中盤までに押し戻すと、延長11回だ。1死一、二塁で菊池が右前へサヨナラ打を放った。追いついた2得点は下位打線を軸にした攻撃で奪ったもの。この日の優勝マジック点灯はならなかったが、奮闘した投手陣とともに、チーム一丸で突き進むだけだ。

 広島恐怖の下位打線が打線をけん引した。前日と同じ6番から野間、会沢、西川と並んだ下位打線が劣勢から4回までの2得点に絡み、試合の流れを引き戻した。

 中日に2点を先制された直後の2回。1死から西川が地面スレスレの低めチェンジアップにバットを立てたような曲打ちで三遊間に転がし内野安打をゲット。二塁進塁後、田中の右前打で生還した。

 1点を追う4回は先頭の野間、会沢が連打で無死一、三塁とすると、再び西川。今度は内角厳しいコースに曲がる114キロカーブにうまく右肘をたたんでバットを振り抜いた。右前に弾む打球で三塁走者は余裕を持って本塁を駆け抜けた。「一発できっちり仕留めることが出来ました。野間さんをかえすことが出来て良かったです」。下位打線3人で挙げた得点に胸を張った。

 特に8番に入る西川の復調が大きい。2回の曲打ちのような打撃が復調の兆し。7月27日DeNA戦では厳しい内角球を右翼フェアゾーンに打ち返し、内角球を三塁方向へファウルで逃げる巧打もみられた。「よく分からないです。反応しているだけ」。スタメン復帰した前日8日から2戦連続マルチ安打。“反応”で対応できることで安打を積み重ね、2軍に降格した5月2日に1割1分8厘だった打率は3割1分6厘まで上昇。安部の離脱を感じさせない。

 復帰の野間、安定の会沢、そして復調の西川。3人の打率はいずれも3割超。前日8日は3人で5安打3打点4得点。この日は5安打1打点2得点だ。

 そして、最後は菊池が決めた。延長11回、1死から代打新井が右前安打。代走上本が盗塁を決めた。1死一、二塁から菊池が右前へサヨナラ打。「新井さんがつないでくれて、タカシ(上本)がつないで、何とかしたかった」(菊池)。優勝マジック点灯はお預けとなったが、5連勝で勢いは衰えない。【前原淳】

 ◆広島は今日にもM35点灯 広島○、阪神○の結果、9日のM点灯はお預け。今日10日に広島が巨人戦で○の場合は阪神がDeNA戦に△か●、広島が△の場合は阪神が●でM35が出る。