阪神は首位広島に優勝マジック点灯を許した敗戦の中、好調な1、2番コンビの奮闘が光った。1番糸原が3安打、2番北條が2安打とそろって複数安打をマーク。鯉倒への執念をバットに乗せた。

 糸原は第1打席で九里の139キロ直球を中前にはじき返し、シーズン100安打に到達。今季9度目の猛打賞で102安打まで伸ばし、チーム最多を走る。北條は連続試合出塁を21に伸ばし、打率を3割4分1厘まで上昇させた。

 輝いたのは3点を先制された直後の3回裏だ。先頭の糸原が九里の変化球を左前に流し打てば、呼応するように北條が続く。初球の内角球に腕をたたんで対応し、するどい当たりで三遊間を抜いた。連打が2点を返す反撃の呼び水となった。

 ただ、快音だけでは満足できない。糸原は「勝ちにつながることが一番なので。塁に出ることと、つなぐことを意識している」。北條も「初球から積極的にいきました。糸原さんは2死からでも塁に出る。ネクストサークルでは(自分に打席が)来ると思って、いい準備ができている」と振り返ったが、2人とも敗戦に笑顔はなかった。

 望みがある限り、最後まであきらめない。王者相手にしぶとく食らいつく2人が逆襲の火付け役となる。【吉見元太】