レジェンドたちに並び、超えた。日本ハムの清宮幸太郎内野手(19)が、プロ初の1試合3安打を記録した。2-2の8回には、本拠地の札幌ドームで初となる4号ソロを右中間席に運んだ。高卒新人の本塁打を含む3安打は93年の松井(巨人)以来25年ぶりで憧れのゴジラに並んだ。新人の4本塁打は日本ハムからエンゼルスに移籍した大谷の13年の3本塁打を上回った。天性のスラッガーがついに覚醒だ。
手応えは十分だった。2-2で迎えた8回。清宮は宋のチェンジアップを、しなやかに体を回転させてバットの芯で捉えた。
「うまく反応できた。チェンジアップは頭にあった。打った瞬間、行ったと思いました」。ライナーで右中間席中段に飛び込んだ1発は、一時勝ち越しとなる4号ソロ。待望の本拠地1号に満員御礼のスタンドが大歓声で揺れた。「ライトまでファイターズファンで埋まったスタンドに僕の打球が吸い込まれていくさまを見ていると、今までにない気持ち良さがあった。これからも、もっと打ちたいなと思った」。格別な思いでダイヤモンドを1周した。
9回に再び追い付かれ、迎えた延長10回。今度は楽天青山のスライダーを強振した。「ちょっと、こすっちゃった」と思ったが、中堅フェンス直撃の三塁打。2回の第1打席は先頭で岸の直球を右前へはじき返し、2点目を演出した。プロ初の1試合3安打。高卒新人の本塁打を含む猛打賞は憧れのゴジラ松井以来、25年ぶりだ。二塁打が出ればサイクル安打達成という固め打ちで攻撃をけん引した。
今月21日に3度目の1軍昇格を果たしてからは、実に5戦3発とハイペースでアーチを量産。打率も昇格後だけ見れば3割8分9厘と絶好調で、1軍では才能を発揮できずにいた以前とは見違えるようだ。城石打撃コーチは「前は真っすぐのタイミングで全部打ちに行っていたけど、今は(変化球に対して)1拍置いて対応できている」と成長点を明かす。この日の3安打はすべて違う球種。本人も「やっと打ち方が分かってきた。木のバットに順応できてきた」と自信を深めている。
今やメジャーで活躍するOBの大谷も1年目は3本塁打止まり。その本数を超えた19歳は「大谷さんは投手もやっていたし、人それぞれペースがあるので」と謙遜する。栗山監督は「持っているものが、前に進み始めた。まだまだ。こんなものじゃない」。若きスラッガーの才能が、ゆっくりと開き始めた。【中島宙恵】
▼清宮が札幌ドームでの初本塁打を含む3安打。高卒新人の猛打賞は16年オコエ(楽天)以来で、日本ハムでは東映時代の59年に7度記録した張本以来59年ぶり。13年大谷は2安打が13度あったが、3安打以上は1度もなし。また本塁打を含む3安打は、93年8月31日、9月2日横浜戦の松井(巨人)以来25年ぶり。松井は8月31日が3安打2本塁打で、9月2日が4安打1本塁打だった。