あぁ7年連続の巨人戦負け越し…。虎が難敵菅野に完封負けを喫した。初回に無死一塁の好機をつかむも送りバント失敗の併殺。その後も序盤は制球が乱れていた右腕を仕留めきれず、前夜に続いて2試合連続の0点負け。長期ロードの勝ち越しも消滅したが、このままズルズルと後退していくわけにはいかない。

重い足取りだった。金本監督はオレンジ色に彩られた東京ドームの廊下を険しい顔で引き揚げた。巨人のエース菅野に圧倒されて完敗。前夜のメルセデスから今季初の2試合連続完封負けを喫し「見ての通り。本当に良かった。高さもコースも良かったし、球の勢いもあった。それを何とか打ち崩していかないといけないんだけど」と脱帽した。

プレーボール直後の失敗が暗い影を落とした。マウンドにいるのは日本球界の大黒柱だ。何度もチャンスは巡ってこない。1回、先頭糸原が一塁への内野安打で出塁する。北條は初球からバントを試みるがファウル。2球目だ。ど真ん中へのカットボール。再挑戦も小飛球が浮く。後方からミットを差し出す小林に直接捕られて、一塁送球。飛び出していた走者糸原も戻れず、一瞬にして2死走者なしになった。指揮官も「もったいない…。もったいないですね。ランナーも飛び出して」と嘆くしかない。

菅野は試合前まで、初回防御率が4・05だった。スキもあった。1回は2死後も制球が定まらず、2四球と内野安打で満塁機を築く。だが、伊藤隼が三邪飛に倒れた。前夜同様に手堅くバントで送れず、転がり込んできたチャンスすら生かせない。金本監督は敗因を問われ「コントロールを乱していましたけど、そこをつけ込めなかった。結果的に初回ですよね。終わってみて振り返れば、あの回の攻撃かなと思います」と振り返るしかない。今季は開幕戦など菅野に2つの黒星をつけており、相性は悪くないが、ちぐはぐな攻めで2回以降、立ち直らせ、歯が立たなくなった。

金本阪神3年目も宿敵の巨人戦で7勝13敗となり、シーズン負け越しが決定。実に11年連続で勝ち越せず、12年から7年連続負け越しの屈辱だ。この話題を振られると悔しさを押し殺しながら「別に巨人だけが相手じゃないから」と声を絞り出した。白星が先行していた長期ロードも借金1になり、勝ち越しが消えた。3カード連続負け越しなど黒星がつきまとう。クライマックスシリーズ圏内に進むためにも、踏ん張りどころを迎えた。【酒井俊作】