首位西武の浅村栄斗内野手(27)が連敗を3で止める1発を決めた。2点を追う7回に決勝の26号3ラン。今季不動の1、2番コンビだった秋山、源田を入れ替えた辻発彦監督(59)の一手も、逆転劇につながった。ペナントレースは残り30試合。ソフトバンク、日本ハムの猛追を受ける中、10年ぶりの優勝に向けて頼れる主将がラストスパートののろしを上げた。

主将浅村のひと振りが、負の流れを断ち切った。2点差に追い上げ、なお無死一、二塁の7回。則本の2球目、154キロを捉え、右中間席にたたき込んだ。決勝の26号3ラン。1点リードの6回に自身の悪送球も絡んで4失点しており「自分のエラーで迷惑をかけてしまった。(先発の)多和田に申し訳ないことをしたので、何とかここで打ってやると思ってました。(感触は)完璧でした」とうなずいた。

期するものがあった。2位ソフトバンクに3連敗を喫して迎えた一戦。ここで食い止められるか否か。ペナントの行方を左右しかねない戦いと分かっていた。「1つ勝つ難しさが改めて分かった。悔しい気持ちもあった。それも踏まえて、みんなで1つになって1つの勝ちを意識していこうと。自分はそう思ってグラウンドに立った」。決意がこもった会心の1発だった。

リーグトップの打点は102に伸ばした。13年以来、自身2度目の大台突破となったが、頭には勝利の2文字しかない。試合前、前を見据えて言った。

浅村 数字への思いは、ほとんどないです。もちろん自分が打った、打たないというのはある。でも今はチームが勝てばいいと思える。勝つとホッとします。今までレギュラーで優勝争いをしたことがないので、こういう気持ちは正直、初めてなんですけど。

初めて去来する感情を受け止め、打席に立つ。主軸として、キャプテンとして、何よりも得点圏での打撃を意識。この日は辻監督就任以来初めて1番源田、2番秋山の打線を組んだ。7回の逆転劇はこの打順が機能。「前のバッターが本当にいい形でつないでくれたので」と重視する好機で最高の結果を出した。

連敗を3で止め、10年ぶりの歓喜へ再スタートを切った。「1つでも多くチームを勝たせられる打点を挙げられるように頑張っていきたい」。頼れる3番浅村。そのバットで頂点へ引っ張っていく。【佐竹実】

▼浅村が今季102打点とし5年ぶり2度目のシーズン100打点。西武で100打点以上を複数回マークしたのはテリー(2度)秋山(2度)カブレラ(4度)中村(4度)に次いで5人目。110打点の13年は一塁手で、今季は二塁手で記録。二塁手で100打点以上は16年山田(ヤクルト)以来7人、9度目。パ・リーグでは97年小久保(ダイエー)03、10年井口(ダイエー、ロッテ)に次いで3人、4度目。