ソフトバンクが4発12点の大勝で西武とのゲーム差を再び4に縮めた。4回にグラシアルの5号ソロ、今宮の10号3ランなど、12人攻撃で7点。松田宣の27号3ラン、柳田の32号ソロも飛び出して今季のチーム本塁打数は173本に。25試合を残し、現在の球団名になってからのシーズン最多記録。01年の球団記録203本も狙えるペースだ。かつてのダイハード打線級の破壊力で西武を猛追する。

柳田のバットからチームの歴史を切り開く放物線が描かれた。8回1死。オリックス比嘉からバックスクリーン左へ32号ソロ。「自分のバッティングをしようと思っていた」という、この日4発目、12点目の1発は今季チーム173本目。球団名がソフトバンクになった05年以降では、球団最多記録となった。

試合を動かしたのはグラシアルだった。4回1死。3回まで抑えられていたオリックス山岡から右翼テラス席への先制5号ソロだ。「ピッチャーも頑張っていたので、なんとか早く先制をと思っていた。本塁打になって良かったです」。工藤監督も「あれでベンチの雰囲気がガラッと変わった。価値のあるホームラン」と大絶賛のアーチで打線に火が付いた。

次打者の松田宣から、四球を挟んで6連打。今宮にも10号3ランが飛び出すなど、この回だけで一挙に7点を奪った。そして6回には松田宣が27号3ラン、最後は柳田のソロだ。25試合を残して173本は、143試合に換算すれば01年の球団記録203本を上回る209本ペースとなる。球団80年の歴史を十分に塗り替えそうな勢いだ。

西武、日本ハムが敗れた中での大きな“ひとり勝ち”になった。首位の西武とは再び4ゲーム差に迫った。8月5日以来、もう1カ月以上連敗していない。工藤監督は力を込めた。「昨日の負けを考えると、大きかったと思います。みんなの気持ちがひとつになっていることが、連敗していないということだと思います」。これで工藤監督は53年の水原監督(巨人)を抜き、就任4年目までの歴代単独最多となる監督通算332勝目。「選手のおかげです。もっと良くなるように頑張ります」と言った。とにかく上を目指し、走り続ける。【山本大地】