西武の「山賊打線」は、ノー本塁打でも強かった。12球団2位タイの163本塁打を誇る打線が、9安打で6点を奪い、ロッテに打ち勝った。

3回は2死から中前打で出塁した2番源田が二盗でチャンスを広げ、浅村が右前適時打を放った。4回は森の適時二塁打で勝ち越し、1点リードで迎えた5回は栗山と中村の連続適時打で3点を奪った。スピード&パワーの攻撃で、プロ初勝利を狙ったロッテ種市を打ち崩した。

ここまで本塁打が出なかった36試合は15勝21敗と分が悪かった。9月に入ってノー本塁打の試合は2連敗。そんな負のデータを払拭(ふっしょく)し、嶋打撃コーチは「ホームランが出ない試合もある。その時に足を絡めて点を取ったり、バリエーションある攻撃ができるのがうちの強み。栗山、中村も打つべき人が打ってくれた」と言った。

5回は1死満塁から、5番栗山が左翼フェンス直撃の2点適時打を放った。「何とか1点取って、おかわりが調子いいので任せようと思った。あいつは気持ち悪いぐらい打っている」と、つなぐ気持ちで打席に立った。6番中村も「クリに続けて良かったです」と35歳コンビで突き放した。

この日、球団最速(05年以降)の主催62試合目で観客動員150万人を突破した。10年ぶりの歓喜へ期待は高まるばかり。辻監督は「うちは負けないことだけ。負けなければゲーム差は縮まらない」と言った。豪快な1発だけではなく、大技、小技を織り交ぜ、目の前の1勝を追い求めていく。【前田祐輔】