巨人が高橋由伸監督(43)に来季の続投を要請することが濃厚になった。12日、都内で行われたオーナー会議後に山口寿一オーナー(61)が今季で3年契約最終年を迎える指揮官の評価について言及。チームとして4年連続のV逸は決定的でCS圏内を争っているが、岡本ら若手の育成力を高く評価し、現時点で来季もタクトを託す意向を示唆した。

巨人のトップが明確にスタンスを示した。3年契約最終年の高橋監督の評価を聞かれた山口オーナーは、質問を超えて自ら核心に踏み込んだ。

山口オーナー 岡本、吉川尚は本人たちの努力ももちろん大きいが、かなりの成績を残しているのは監督やコーチ陣が力を合わせて、若手を育てようとしたのも大きかったと思う。ペナントレース途中で先のことを言える時期じゃないが、十分にチームを整えて監督には腕をふるってもらいたいなと私は考えている。

現在は3位でCS圏内の瀬戸際。就任以来、優勝争いに絡めず、チームとしても球団史上ワーストタイとなる4季連続のV逸は決定的だ。「巨人として強い危機感を持っている」とし、現状を厳しく捉えている。

ただ、順位も重要視はしているが、若手の成長は最大の評価点だ。今春キャンプで指揮官と会談した際「若い選手を勇気を持って使っていきます」と伝えられ、その後の実行力を注視してきた。岡本は4番に固定し、史上最年少の3割30本100打点を視野に入れた。吉川尚も故障離脱したが正二塁手としての資質を引き出した。「その後、いろいろ誤算があり、チームは必ずしも望んでいた状態ではない。だが監督はチーム事情にかかわらず姿勢を貫いている。私としては評価している」とブレないマネジメントを認めている。

シーズン佳境で順位も決まっておらず、高橋監督とも来季について正式には話し合っていないという。「今の時点での私の一方的な考えだということ」と一線も引いた。一方で山口オーナーは読売新聞グループ本社の社長でもあり、その言葉は重い。組織のトップ、渡辺恒雄読売新聞グループ本社代表取締役主筆の考えを聞かれ「かねて高橋監督の力を認めている。同じ考えだろうとは思う」。正式な続投要請はシーズン後となりそうだが、高橋政権が4年目を迎える公算が大きい。【広重竜太郎】