西武優勝の原動力となった「山賊打線」。特長として、他球団と比べ主力野手の離脱が少なかった点が挙げられる。4月に守備で飛び込み左肩を痛めた中村と、9月に左腹斜筋を痛めた外崎の2人だけ。しかも中村は、あくまでプレー中のアクシデントだ。故障予防に向けた取り組みがあった。

坂元トレーニングコーチは「情報共有を密にしている」と話す。コンディショニング部門のミーティングを増やした。去年までの月1回を1~2週に1回にした。1時間はかけ、1人1人の状態を確認。疲れていると判断された選手を担当コーチに伝えることもある。無理させない選択肢を提示するためだ。山本チーフトレーナーは「蓄積疲労による故障は防げていると思う」。日々のチェックも怠らない。野手は練習中の動きからスタッフ全員で目を配る。投手も週2、3回、トレーナーのチェックが入る。肩、股関節、柔軟性など約10項目にわたる。

坂元コーチも成果を実感するが「他球団でもやっていること」。それより、西武にしかないものがあるという。「『痛い』と言わない選手が多い。放っておくと痛いまま出てしまう。止めるのが大変。伝統だと思う」。15年ぶりに西武に戻った松井も証言する。「伝統でしょう。僕が若い時は(前ロッテ監督)伊東さん。誰よりも練習するから、若手が少なく走るわけにはいかない。変わってないですね」。年長者が率先して練習し、少々の痛みは押して試合に出続ける。その姿を見て若手が育つ。新人開幕からフルイニング出場を続ける2年目の源田は「普通じゃないですか?自分

から『痛い』なんて言うわけない」と真顔で答えた。

伝統の“たくましさ”と、選手を支える“体制”が合致し、今年の強さを生んだ。【古川真弥】

 

今季のパ・リーグの各チームの野手の離脱は次の通り。日付は登録抹消~再登録。

【西武】

中村 左肩痛 4月22日~6月1日

外崎 左腹斜筋の張り 9月4日~

【オリックス】

中島 左太もも裏肉離れ 6月29日~8月4日

西野 前頭骨骨折および脳振とう 8月12日~

小谷野 下半身のコンディション不良など 6月27日~7月27日、8月8日~

T-岡田 右腹斜筋の筋挫傷 6月30日~8月17日

ロメロ 右脇腹違和感 8月1日~8月24日

【楽天】

ウィーラー 左手人差し指の剥離骨折 6月16日~8月3日

茂木 左ふくらはぎ痛 8月17日~

藤田 左肋骨挫傷 8月4日~9月8日

【ロッテ】

清田 左ふくらはぎ肉離れ 開幕2軍~4月3日

角中 胸椎圧迫骨折 開幕2軍~5月11日

井上 へんとう炎 6月13日~6月23日

荻野 右手第2指基節骨骨折 7月10日~

【ソフトバンク】

明石 腰痛 開幕2軍~4月18日、4月27日~6月5日、6月15日~8月16日

高谷 右肘手術 開幕2軍~4月17日

内川 右膝の骨挫傷 5月17日~6月16日、疲労性体調不良と右肩痛 8月16日~

中村晃 右大腿二頭筋の損傷 4月18日~4月28日

グラシアル 左手薬指骨折 5月25日~8月17日

デスパイネ 右膝痛 8月17日~9月19日

今宮 右肘関節炎 6月13日~7月16日、左太もも裏痛 9月18日~

柳田 脳しんとう特例措置 9月17日~9月23日

牧原 右前距腓靭帯損傷 9月28日~

【日本ハム】

近藤 右腓腹筋の筋挫傷 5月1日~5月15日

アルシア 左太もも裏痛 5月13日~5月29日、右肘痛 8月18日~8月30日

石井一 右手小指靱帯損傷および剥離骨折 5月24日~6月3日

中島 左太もも肉離れ 6月25日~7月6日

大田 左手小指骨折 7月9日~8月25日

杉谷 左背筋肉離れ 8月5日~8月18日

レアード 左腹斜筋肉離れ 9月19日~