今季限りで現役を引退するソフトバンク本多雄一内野手(33)が3日、ヤフオクドームで会見した。ホークス一筋13年でユニホームを脱ぎ、今後も何らかの形で球団に残る予定だ。盗塁王を2度獲得。快足や堅守でファンを魅了した「ポンちゃん」は第2の本多を育てるべく、指導者への意欲も示した。本拠地最終戦の6日西武戦で引退試合を行うことも発表された。

本多は実直な人柄そのままに、丁寧で、はっきりとした口調で会見した。「まだこの場にいることが自分でも信じられないですし、同時に13年間の思いが走馬灯のように思い浮かんでいます」。引退の大きな理由は12年に発症した首痛。今季は痛みの出る頻度が増え「自分が納得する動きができなかった」。目標としていた350盗塁を前に、ユニホームを脱ぐ決断をした。

会見の最後に同学年の長谷川勇から花束を受け取ると、こらえ切れなかった。「我慢できたと思ったら、ハセが来るんだもん」。ファンからも、仲間からも愛された男はくしゃくしゃの泣き笑いだった。

本拠地最終戦の6日西武戦で引退試合を行うことも発表された。工藤監督は「ファンに勇姿を見せてほしい」と「1番二塁」での起用を示唆。スタメンでフル出場する予定だ。本多は「思う存分、楽しみたいと思います。感謝の気持ちを持って試合に臨みたい」と笑顔でラストゲームに意気込んだ。本多らしい全力プレーでファンに別れを告げる。

最後まで福岡にこだわった。「FAもありましたし、他に行く選択肢ももちろんありました。記録を伸ばすためには…。去年も試合に出られないときは考えたこともありました。でも、記録よりお世話になったところでしたい思いが強かった」。今後もチームに尽くし、恩返しする考えだ。

球団側は「功労者として、いろんな可能性で話をしています」とコーチ要請も含め、球団に残留する方向で話を進めていく。本多も「指導者に回れることがあれば、今までの引き出し、コミュニケーション、経験を生かして前に進みたい」と将来のビジョンを描いた。自ら育てた「第2の本多」がヤフオクドームで駆ける日がきっと来る。【山本大地】