体調面を理由に今季限りでの勇退を発表していた横浜商大・佐々木正雄監督(70)がラストゲームを終え、35年間の監督生活を終えた。

3点を追う9回、2死から1点を返したが、追撃はそこまでだった。「あ、これで負けだな、と。野球道はこれで終わったんだなと思った」と振り返った。春は10戦連敗し入れ替え戦を戦った。「春は勝ち点がなかったのに、勝ち点を2つ挙げた。だから、いいんじゃないかな。あんまり欲を出してもいけないよ」とほほ笑んだ。

自称「ワル」。「野球がなかったらやっぱりダメな人生を送っていたと思う。野球があっていろんなことを教えてもらった」。社会に出てから苦労しないよう、選手にも時に厳しくあたってきた。試合後には親族がかけつけ、花束を贈呈され、選手に胴上げをされた。「若い連中と一緒に燃えて、悩んできたことが長生きできたたまもの。学生たちには感謝しないといけない」と笑った。

報道陣から「心残りはあるか?」と問われた佐々木監督は、少し時間を置いたあと、こう答えた。「あまり言いたくないけど…何も家庭の役に立てなかった。何もしてこなかった。これからは病気しないで、節制しながらやっていくよ」と少し照れながら言った。

佐々木監督は90年春の神奈川大学リーグで初制覇し、春4度、秋2度のリーグ優勝を飾り、阪神山崎憲晴内野手、岩貞祐太投手らを育てた。来年からは総監督としてチームを支え、助監督の井樋(いび)秀則氏(56)が監督に昇格する。