阪神が今季の本拠地最終戦となった10日のDeNA戦(甲子園)に逆転勝ちした。しかし、17年ぶり最下位の屈辱は消えはしない。試合後、ナインとともにグラウンドに整列し、あいさつに立った金本知憲監督(50)は「私の力足らず」とした上で、「こういう結果に終わってしまい、心よりおわび申し上げます」とファンに深々と頭を下げた。

勝っても「有終の美」と喜べるはずがなかった。今季の甲子園最終戦は接戦を制した。試合後のセレモニー。マイクの前で金本監督が顔をゆがめた。「選手たちは本当に開幕から目いっぱい、体を張って頑張ってくれましたけれど、私の力足らずのため、こういう結果に終わってしまい、心より謝罪とおわびを申し上げたいと思います」。17年ぶり最下位の責任を背負い込む60秒スピーチだった。

一塁側ベンチ裏の会見室に現れても真っ先に口を突いたのは謝罪だった。「今年、本当に勝てなかったので…。本当に何て言うのかな。申し訳ない。本当に申し訳ない。ファンをガッカリさせてしまって」。甲子園で21勝39敗2分け。実に借金18を背負い、過去最悪の大敗を喫してしまった。

聖地が鬼門だった。この日は6回に中谷が本塁打を放ち、甲子園でのチーム本塁打は今季20本。ラッキーゾーン撤廃後の92年以降のワースト記録(08年19本塁打)こそまぬがれたが、打力不足が苦戦の大きな要因になった。今季のチーム本塁打85本もリーグ最低。金本監督は「本塁打だけがすべてではないけど、やっぱり、今年の他球団は甲子園でもボコボコ、本塁打を打てたからね。そこら辺の差もあった」と振り返った。

指揮官は甲子園で勝てなかった理由を、こう打ち明ける。「パッと浮かぶのはあと1本というね。勝負どころや序盤で、あとヒット1本、タイムリーが出ていれば。打撃でしょうね、一番は。ビジターに行けばよく打ってくれた。悪い方にプレッシャーになってしまったのかな」。昨季20本塁打の中谷が5発止まり。16年新人王の高山は2軍でプレーし、大山もシーズン終盤まで伸び悩んだ。11月の日米野球に出場する侍ジャパンメンバーはセ・リーグ唯一の選出0人。若手強化の難しさにも直面した。

「自前で作っていく、選手を1人育てるのが、これだけ大変なものかと。投手にしても潜在能力があるだけに伸びてこない、伸び悩んでいるのは我々の責任」

マイクの前で悔恨の思いがにじむ。「この悔しさを選手たちは真摯(しんし)に受け止め、来年必ずたくましく帰ってくれるものと信じております。本当に心よりおわび申し上げます。そして1年間本当にありがとうございました」。来季は3年契約2年目で続投は既定路線。金本阪神がいばらの道に入った。【酒井俊作】

▼阪神は今季甲子園で62試合を戦い、21勝39敗2分け、勝率3割5分。シーズン39敗(過去ワーストは95年38敗)、借金18(同78年借金17)はいずれも球団史上ワーストを更新した。