34年ぶりの日本一へ、広島が2日がかりの先勝だ。「SMBC日本シリーズ」第2戦がマツダスタジアムで行われ、セ・リーグ王者広島が5-1でソフトバンクを下し、1勝を挙げた。前夜は4時間38分の激闘で延長12回引き分け。一夜明けて勝利を呼んだのは、鈴木誠也外野手(24)のバットだった。先制打を含む3安打3打点。若き4番が輝いた広島が先手を取った。

本塁に滑り込んだ丸が両手をたたくと、一塁上の鈴木は一塁側ベンチに向かって何度もガッツポーズを繰り返した。5回1死二、三塁。中前に伸びる一打で2人を生還させた。リードを5点に広げ、マツダスタジアムは真っ赤に燃えた。若き4番の活躍で日本シリーズの先手を奪った。

「球が速い投手なので、大振りせずにコンパクトに。とにかく後ろにつなぐことを意識した。打席での考え方や入り方が非常にいい状態にある。このシリーズは継続してやっていきたい」

延長12回で引き分けた前夜の死闘を無駄にしなかった。第1戦から先発野手を半分の4人も入れ替えたソフトバンクに対し、広島はバッテリーと、野間と安部の打順を入れ替えだけ。1番から5番まで、今季規定打席に到達した中軸クインテットが打線をけん引。中でも4番鈴木が3安打。1回は2死三塁から遊撃前への内野安打で先制点をもぎ取り、5回はダメ押し点をたたき出した。ポストシーズン初の1試合3打点で、今シリーズの打率を5割5分6厘にまで上げた。

CSでは初戦に本塁打を放ったものの、3戦で安打は1本。打率1割2分5厘に終わった。「停滞した空気を変えられるようにならないといけない。それが4番の仕事。でも、シーズン中からずっと丸さんがその役割をやってくれた。僕はただ、その後に続いただけ。シリーズではそうありたい」。シーズンで好成績を残しても、チームが3連勝でCSを勝ち上がっても、感情は消化不良だった。それがこの活躍の肥やしになった。

緒方監督は打線について「CSより日本シリーズの方が状態は上がってきている」と見ている。34年ぶりの日本一へ、敵地福岡へと乗り込んでいく。鈴木はお立ち台で決めぜりふの「最高でーす!」を封印。「1勝できたのは大きいですけど、相手もめちゃくちゃ強いので、まだまだ油断できない」と表情を引き締めた。喜ぶのは、あと3勝してからだ。【前原淳】