新GMのお眼鏡にかなって船出する。楽天ドラフト5位の最速144キロ左腕・佐藤智輝(18=山形中央)が5日、山形市内の同校で指名後初のあいさつを受けた。正面玄関で長島哲郎スカウト部長(58)と宮越徹スカウト(40)の到着を直立不動で待ち、校長室で指名理由を聞いた。

9月に就任した石井一久GM(45)の鶴の一声が決め手だったという。高校生左腕を1人指名する方針だったが、同GMが10人以上の候補からビデオなどを見た印象で判断。日米通算137勝左腕の佐藤評は、巨人4位横川凱(18=大阪桐蔭)阪神5位川原陸(17=創成館)らの甲子園出場組より高かった。担当の宮越スカウトは「右投手の僕ははっきり確信を持てなかったが、左投手のGMが『いい』と。左同士で感じるところがあるのでは」とうなずいた。佐藤は「小さい頃からテレビでよく拝見した方なので、すごくうれしいです」と感謝した。

また宮越スカウトは今春以降の成長を評価した。「春は反動で投げていたが、夏は体の回転で投げられていた。短期間ではできない。体の強さを感じました」。長身183センチに秘められた運動能力は父嘉男さん(57)譲り。185センチの元バスケットボール選手で、日大山形では3年連続で高校総体に出場した。左利きは母美幸さん(58)譲り。同スカウトは「体ができて大きくなれば、140キロ台後半まで出る。先発ローテの柱に」と期待した。

目標の存在は元楽天エースのヤンキース田中将大(30)。小学生時代から何度も楽天本拠地に足を運び、日本歴代2位の18三振を奪った11年8月27日ソフトバンク戦もスタンドで見た。「力強いボールを投げ、コントロールもある。尊敬しています」。19日の入団交渉を経て、憧れのユニホームで22日の新入団会見に臨む。【中島正好】