東京オリンピック(五輪)の4番大本命? 侍ジャパンの柳田悠岐外野手(30)が「2018日米野球」で2試合連続アーチを記録。5番から4番に昇格すると、第1戦の逆転サヨナラ弾に続き、2ランを含む4安打と連夜の大暴れで快勝に導いた。侍ジャパンでは初の4番で文句なしの結果。今回は代表から外れているDeNA筒香や、前日座った山川らがいる4番候補の中で、圧倒的な存在感を放っている。

3回、柳田の打球が左中間席中段に消える。前夜の衝撃弾が記憶に残る米国ベンチには「ワオ」と首を横に振る選手もいた。外角のスライダーを強振した一撃。連日のお立ち台では「いい1日になりました。思い切りボールをしばいたろうと思った」と笑った。

東京ドームの主役になっていた。MLB松井コーチは、チーム内で柳田が話題になっていると明かす。「逆(左)方向にあれだけ飛距離が出る。今までの日本人ではなかった。何か特別なものを持っているのでしょうね」とうなった。

初回は三塁線を鋭く抜く先制打。本塁打後の5回は左中間に適時打。6回にも中前に運び、4安打とした。バットの先だったが、中堅ピラーは振りを見て、前進が数秒遅れた。広く空いたグラウンドにポトリ。当たりは最も地味だったが、スラッガーの勲章といえる安打だった。

打ったのは初球、初球、2球目、2球目。すべて最初のストライク。外国人特有の動く球や、初対戦の投手への対応については「リラックス。打ちたい、打ちたいではなく、いいバランスでと心がけている」。狙い球を定めず、反応で打つギータ流が相手を問わず打てる理由かもしれない。

侍ジャパンで4番に座るのは初めて。2年後の東京五輪でも打線の中心に座る可能性が高まる。中距離打者だった稲葉監督は「つなぎの4番」を務めたが、WBCに限ると典型的な長距離タイプばかりを据えてきた歴史がある。

柳田はトリプルスリー経験者の「走れる4番」。出塁率も高く、多彩な働きができる。稲葉監督は「何番でも、スタイルは変えないで」と期待する。打順について柳田は「いつも通り。何番でも関係ない。出たら集中するだけ」とどこ吹く風。何番であろうと、打線に欠かせない選手であることは証明した。【柏原誠】