復調への光が差した。侍ジャパンの山川穂高内野手(26)が、6点を追う9回2死二塁で代打で登場。フルカウントからの7球目、外角152キロをはじき返し、右中間フェンス直撃の適時二塁打を決めた。日米野球3戦目での初打点&初長打に「打席の中でのボールの見え方がよかった。これで何かが変わってくれれば」。表情は緩まずも、言葉には手応えがにじんだ。

不振に苦しんだ。4番を託された台湾との親善試合と今シリーズ第1戦は無安打。10日の第2戦は5番で内野安打を放ったが、この日は「精神的に少しリラックスという意味も込めて」(稲葉監督)スタメンから外れた。代打出場は17年7月21日の日本ハム戦以来だったが「2軍から1軍に上がった時を思い出して。代打はいろいろと考えてはダメ。甘い球がきたら初球から全力で打ちにいく準備をしていました」。“邪念”を払って結果を出した。

重圧が、知らぬ間に本来の打撃を封じ込めていた。「力んでいないと思ってましたが、日の丸を背負うと…。無意識に力が入っていたと思う。無理やり打とうとし過ぎてました」。日本代表の4番という「意識せざるを得ない場所」に座り、打たなければいけない気持ちが打席での体の開きを早くしていた。

打開に向け、試合前に金子ヘッドコーチと早出特打を敢行。緩い球を引きつけて打つ練習を繰り返した。汗を流して壁を乗り越える-。西武の4番として47発を放ったシーズン中と同じ取り組みが、きっかけになった。「(代表でも4番を)打ちたい気持ちはありますが、結果が伴っていない。勝つためには何でもやる。今日は負けてますし、何とかやり返したい」。山川は、ぎらつく目で力強く誓った。【佐竹実】