MLB選抜のドジャース前田健太投手(30)が「2018 日米野球」第4戦に先発し、2回無失点と日本打線を圧倒した。15年まで所属した広島の本拠地マツダスタジアムでの3年ぶりの凱旋(がいせん)登板で、成長した姿を見せた。日本は2点を追う9回に4点を奪い、逆転勝ち。対戦成績を3勝1敗とした。

開始時の気温は14度。冷え込んだ広島でも半袖で登場した前田は楽しそうに腕を振った。

「久しぶりにこの球場で投げられて、幸せな時間でした。久しぶりに日本選手と対戦して、すごく楽しかったです。先発させてくれた監督に感謝したい」

広島の後輩、菊池を打席に迎えて互いに笑った。同学年の秋山、柳田らとの対戦も楽しんだ。前夜に広島勢と食事をした際、同期の会沢と対戦を約束していたが、打者7人で片付けたため回らなかった。マッティングリー監督に「あと1人だけ」とお願いしたが却下された。「アツ(会沢)が俺の前で終わったら怒るからなって言っていたので…」と残念がった。

笑顔とは裏腹に投球ではすごみを見せつけた。初回、柳田は149キロで詰まらせて遊ゴロ。山川はスライダーを振らせ、森はチェンジアップで腰砕けの空振り。直球は常時150キロに迫り、制球も正確だった。

「全体的にレベルアップできていると思う。すべての球種もレベルアップしている。今日の結果が一番。成長した姿を見せられたんじゃないかな」。天に突き上げる代名詞のワインドアップはやめている。不調だった昨季途中からノーワインドアップだ。今年からチェンジアップの握りをフォークのように変更。トレーニング量も格段に増えた。以前、自主トレをともにしていた大瀬良も再会して体つきの変化に驚いた。

「特別な試合」と話してきた。広島で日米野球が開催されると聞いてオファーを受けた。10月末までワールドシリーズを戦った疲れは残るが、厳しい日程で調整した。午後1時すぎ。もうマウンドに立った。1人で球場入りし、懐かしむようにグラウンドに出た。観客席のコンコースも歩き、全景を眺めた。思い出の詰まった広島で3年ぶりにマエケンが輝いた。【柏原誠】