BC新潟の新入団選手会見が6日、ハードオフ新潟で行われた。10人の新戦力の中で、ただ1人の新潟県出身者は地元枠で入団した熊倉巽外野手(22=糸魚川市出身)。今年のドラフトでDeNAに6位で指名された知野直人内野手(19)に続く、地元出身者のプロ入りを目指す。

BC新潟のオレンジ色のキャップをかぶると、熊倉の表情が自然と引き締まった。「目標はプロ入り。来年のドラフトで指名されるように」。入団会見はその1歩目。アピールポイントは「打撃です」と言い切る。「大事な場面で1本打つ」。目標とするのは広島鈴木誠也だ。

今年の明治神宮大会大学の部で準優勝した環太平洋大から11月の独立リーグドラフト会議地元枠で入団した。「新潟でプレーできることがうれしい」。糸魚川中を卒業し、浦和学院(埼玉)に進学した。大学は岡山。地元でプレーするのは糸魚川中時代に所属した糸魚川シニア以来になる。

雪辱の思いが強い。浦和学院では2年の秋に一塁手で4番を打ったが、潰瘍性大腸炎で体調を崩し、春、夏はベンチ外。環太平洋大2年で外野手に転向。ただ、公式戦のスタメンはなく、明治神宮大会も代打で2試合出場しただけだった。「ここでしっかり結果を出したい」。高校、大学で力を発揮できなかった悔しさを、ドラフト指名を勝ち取るバネに変える。

父登さん(50)は糸魚川シニアの監督だった。現役時は糸魚川高から駒大に進み、本田技研和光(現ホンダ)で外野手として活躍した。「昔は怖かったけど、今は優しい。(BC新潟入りは)少し喜んでくれたと思う」と笑う。プロ入りは、恩師でもある父への恩返し。来年は吉報を伝えるためのシーズンが待っている。【斎藤慎一郎】

◆熊倉巽(くまくら・たつみ)1996年(平8)5月20日生まれ、糸魚川市出身。糸魚川小2年で野球を始める。糸魚川シニアでは捕手。浦和学院で一塁手に。環太平洋大では1年の春季にベンチ入り。175センチ、80キロ。右投げ右打ち。背番号29。