オリックスから阪神へFA移籍する西勇輝投手(28)が13日、巨人菅野とハワイで合同自主トレを行うことを明かした。この日、大阪市内のオリックス球団施設を訪れ、明言した。4年連続4度目となる菅野との合同トレは、今月下旬から約1カ月行われる。2年連続沢村賞を受賞した宿敵巨人のエースからエキスを吸収し、シーズンでの“恩返し登板”を狙う西は今日14日、入団会見に臨む予定で「阪神西」の第1歩を刻む。

常夏の地で異例の呉越同舟トレが行われる。侍ジャパンで共に戦った縁もあり、西からの依頼で15年オフから始まった菅野とのハワイ合同トレは、4年連続4度目となる。「菅野さんと向こうで合流します。いろんな選手がそこにいるので、自分もしっかり吸収していけたらいいなと思っています」。ただ、今回はこれまでと違う。「オリックス西」ではなく、「阪神西」としての参加だ。

菅野は今季15勝8敗、防御率2・14と圧倒的な数字を残し、2年連続の沢村賞受賞。最優秀防御率、最多勝利投手賞のタイトルも2年連続で獲得するなど、言わずと知れた球界を代表するエース。西が菅野との合同トレに参加するのは毎年恒例とはいえ、宿命のライバルチームの開幕投手候補同士がともに汗を流すことになり、異例中の異例だ。

昨オフの合同自主トレでは菅野から貴重な助言を受けている。「新しいことにチャレンジしてみては」。そんな菅野の言葉もあり、西は今季、ほぼ一塁側だったプレートの踏む位置を半足ほど中央寄りに変更。2年ぶりの規定投球回数到達で、2桁勝利も2年ぶりにマークした。今回の自主トレ内容は明かされなかったが、貴重な時間となることは間違いない。

この日は大阪市内にあるオリックスの球団施設を訪れ、荷物整理や関係者にあいさつを行った。室内練習場では東明とキャッチボールを行い、体を動かした。この日で舞洲へ訪れるのは最後という。「10年お世話になったので…」と名残惜しさをみせる一方で、「そうはいっても切り替えて、次のステップなので。しっかり頑張っていきたいと思います」と前を向いた。

オリックス時代には経験のない菅野との投げ合いも、同一リーグ在籍となり、実現する可能性が大きくなった。いずれにせよ、約1カ月の異例合同トレで、西がさらにパワーアップして虎に加わるはずだ。【古財稜明】

<阪神選手と巨人選手の自主トレ>

◆阪神岩田-巨人杉内 同じ左腕同士。杉内のソフトバンク在籍中に始まり、巨人移籍の決まった12年の春季キャンプ前まで鹿児島・薩摩川内市内で行った。杉内が12年セ・リーグに加わり、岩田は「勝ち星、防御率、奪三振数。何もかも勝ちたい」と闘志をむき出しに。

◆阪神平野-巨人小笠原 オリックス在籍中の平野が、首の故障で引退を考えていた07年からの縁だった。実績十分の小笠原が、風呂場の椅子や洗面器をきれいに片付ける姿に、平野は「こういった姿勢が野球につながっているのかなと思いました」と心を打たれた。

◆阪神伊藤隼-巨人高橋由 慶大の先輩である高橋由に、13年から15年まで弟子入り。同じ左打者として、左肩の使い方について伝授されたという。思わぬ助言に「聞いた事がなかった。さっそく試してみました」と感心しきりだった。