阪神掛布雅之オーナー付シニア・エグゼクティブ・アドバイザー(SEA=63)が22日、遊撃に再転向する鳥谷敬内野手(37)の復活を確信した。今オフに会食した際の節酒エピソードを披露。来季の「143試合フルイニング」への強い思いを感じ取った。この日は阪神競馬場でMBSラジオの公開収録に臨んだ。

鳥谷の強い決意が、掛布SEAの言葉を通して、あらわになった。先日、鳥谷と会食した時のエピソードを披露。好きなワインを勧めたが、固辞したという。掛布氏によると、背番号1はその理由をこう説明した。

「契約も来年で切れる。143試合フルイニング出たいんです。そのための準備をしていますから」

競馬場に集まった阪神ファンから、ざわめきが起きた。

掛布SEAは以前から鳥谷の存在を特別視する。来季にかける姿に、復活を確信した。「鳥谷がどこまでやれるかがポイントと思っている。彼もそのつもりでやっている。彼がやる野球は若い選手にいい影響を与える。(若手を積極的に使った)金本前監督と逆行するようだが、勝たないといけない中で鳥谷というカードは絶対に必要。精神的なものでも」と語気を強めた。

来年38歳を迎えるベテラン内野手がフルイニング出場…。今季は連続試合出場が「1939」で途切れ、代打だけの出場も多かった。矢野監督に遊撃に再挑戦する意思を伝えた。内野陣には糸原、北條、大山と期待の若手がひしめき、世代交代の波が押し寄せている。その状況を理解しながらも、鳥谷は少しもあきらめていない。

掛布SEAはイベント終了後にもあらためて言った。「かなり強い気持ちで来季に向かっている。自分にも期待をしているんだろう。来年、いい形でシーズンを終えられれば、次の野球(人生のスタイル)というのも見えてくる。その意味でも来年の鳥谷は注目して見ていたい」。道は険しくても、鳥谷の本気のチャレンジが新生阪神の力になるのは間違いない。【柏原誠】