金子千尋投手(35)が今年、登録名を金子弌大(かねこ・ちひろ)と改め日本ハムから出陣する。オリックスとの契約交渉が折り合わず、保留者名簿から外れた。球団は再契約を容認する姿勢を見せたが、金子が選んだのは、日本ハムだった。「銭闘千尋のオリ外し(千と千尋の神隠し?)」と言っている。

パを代表する投手の1人だ。14年には沢村賞に選ばれた。16勝5敗、防御率1・98の成績を残した。最多勝、最優秀防御率もあわせて獲得。多彩な球種を操り、丁寧にコーナーを突く制球力を持つ。「制球ベリーマッチ?」。そんな右腕も、昨年は4勝7敗、防御率3・87と不本意な結果でシーズンを終えていた。

今年、改名したことで思わぬ挑戦権を得た。沢村賞に2度輝いた大投手、別所毅彦に並ぶチャンスだ。同賞制定後の第1号で、受賞時(47年=南海)は別所昭(あきら)だった。巨人に移った49年に別所毅彦と改め、55年にも選出された。登録名を変えて2度目の受賞。金子も「別称?」になってよみがえるか。

オリもオリ? 今年の開幕カードに、日本ハム-オリックス戦が組まれた。金子が古巣相手に暴れるようなら「オリを出て、北の大地で野生化した?」と解釈しよう。【米谷輝昭】