阪神ドラフト1位の大阪ガス・近本光司外野手(24)がインタビューに応じ、19年シーズンに向かって“5箇条の御誓文”を立てた。背番号「5」にちなんで「開幕1軍、新人王、盗塁王、お立ち台5回、ホームラン5本」を約束。自ら「RESTART」と表現した新人年から虎を引っ張る覚悟をみせた。【取材・構成=真柴健】

新たな1歩を踏み出す近本の口から、思わぬ言葉が飛び出した。今季の一字を聞いたときだ。

近本 漢字でなくてもいいですか? 「RESTART」ですね。アマチュアとプロの世界は全然違うので。もう1度、野球を見つめ直す。プロ野球選手とはどういうものなのか、しっかり考えて。それを体現したい。

口ぶりには心躍るさまがにじむ。才能に努力を重ねて憧れの仕事に就いた。もちろん、責任感がある。

近本 職業がプロ野球選手になるので…。夢を売るのが仕事。ファンを喜ばせるだけじゃなくて、夢を与えるというふうに。こういう選手になりたいなと少年たちに夢を与えられたらいいなと思う。

期待のドラフト1位。新人年から突っ走る。その覚悟を目標として尋ねられると「開幕1軍、新人王、盗塁王、お立ち台5回、ホームラン5本」と「5つの約束」をぶち上げた。

「開幕1軍」

社会人出身の24歳。年間を通して活躍する難しさを知っている。

近本 まずはケガをしないこと。常に体を万全で動かせるように。キャンプでどれだけいい結果を残しても、シーズンに入ってから結果を残さないと意味がない。目の前の結果だけを求めず、シーズンに入っていきたい。

日々平常心を保って過ごすことを心掛ける。ただ、胸中は熱い。タイトルを新人年から狙う。

「新人王」「盗塁王」

近本 2年目で取るのと1年目でタイトルを取るのは全然違う。新人王は今年しか狙えない。走ることも含めて、全体的にレベルアップを図らないと。ただ、見失ってはいけないのは挑戦する勇気。(盗塁は)成功率を求めてしまうと、100%のときしかスタートが切れない。迷ったら行く。試みる勇気が大事。そこだけは見失わないように、頑張ります。

「お立ち台5回」

生まれも育ちも関西圏。虎の存在価値を理解している。さらに、活躍してマイクを待つ姿もイメージ。パフォーマンスにも秘策を練ってシーズンに向かう。

近本 阪神タイガースで、そして甲子園でお立ち台に立つとなれば求められるところもあると思う。そこを、どうするかというのは、これから考えないといけないですね…。

「ホームラン5本」

持ち味は「足」。だが、18年の都市対抗では5試合で21打数11安打。打率5割2分4厘で首位打者も獲得した打撃にも注目が集まる。

近本 甘い球をしっかり飛ばしたい。ただ、今のままでは通用するとは僕も思っていない。このキャンプで試合が始まってから、自分が狙って打てるのか、狙わなくても打てるのか、狙っても打てないのかというのを考えていきたい。

秘めたパンチ力もあり、都市対抗では東京ドームの左翼席に放り込んだ。本拠地となる甲子園では、右から左に吹く強烈な浜風もあるが、すでに計算済みだ。

近本 打球が上がってしまうと(右翼手に)捕られる可能性がある。でも、レフト方向にもホームランの可能性はある。その風に乗せることもできますし、ライナーならその風をうまく使うこともできる。しっかり状況で判断していきたい。

高い身体能力に、クレバーな野球脳。プロの世界で羽ばたくために近本が「RESTART」を切る。

◆近本光司(ちかもと・こうじ)1994年(平6)11月9日生まれ、兵庫・淡路市出身。野球は学習小2年時に始め、社高では投手兼外野手で3年夏県大会8強。甲子園出場経験はなし。関学大を経て16年大阪ガスに入社し、昨夏都市対抗でMVPにあたる「橋戸賞」を獲得し、日本一に導いた。