広島野間峻祥外野手(25)が10日、巨人にFA移籍した丸佳浩外野手(29)の人的補償で加入する長野久義外野手(34)に挑戦状を送った。マツダスタジアムと広島市内のジム「アスリート」で自主トレを公開。同じ外野手の長野に対し「すごい選手」と敬意を示した上で「負けないつもりでがんばりたい」とライバル意識をむき出しにした。

自主トレを公開した野間の表情は、きりりと引き締まっていた。マツダスタジアム室内練習場でティー打撃を行い、さらにマシン打撃でハーフスピードのボールを打ち込んだ。遅い球を確実に捉える訓練で、速球への対応力を上げようという試み。143試合を戦い抜くための特訓だった。

同僚になる長野の存在が刺激になっている。自分と違う右打ちということもあり、あまり意識していなかった打者だが、目標とするセンターの守備位置を脅かされる可能性が出てきた。「(広島入りが決まり)びっくりしました。『ああ…』という感じ。すごい選手ですが、負けないつもりでがんばりたい」。自らに言い聞かせるように話した。

相手が大物でも、負けていられない。野間は昨季初めて規定打席に到達し、打率2割8分6厘、5本塁打、46打点、17盗塁。丸が故障で離脱した春先は中堅を守り、丸復帰後は左翼にまわった。さらなる飛躍を目指す今季は「全試合出られるようにがんばりたい」と燃えている。実績十分の長野が相手でも、守備位置を譲るつもりはない。

戦う準備は整えている。この日は広島市内のジム「アスリート」でウエートトレーニングも公開。同ジムの平岡洋二代表は、野間の進化を証言した。バーベルを担いだ状態で前方に一方の足を踏み出す「レッグランジ」という種目で、かつて指導した金本知憲氏、新井貴浩氏をしのぐ数値を出したという。「野間は130キロを上げる。金本も新井もできない数字。バランスのいい、理想に近い肉体で、ホームランが増えても不思議じゃない」と話した。

野間は、長野加入が決まる前から、並々ならぬ思いで今季への準備を進めてきた。キャンプからアピールし、センターの守備位置を勝ち取る。【村野森】

◆広島の外野陣 右翼は鈴木が確定的。丸の抜けた中堅は、昨季丸の離脱時に穴を埋めた野間が有力だが、長野加入でどうなるか。長野は左翼が有力とみられるが、昨季巨人で中堅、右翼も守っており、キャンプで適性などが見極められる。左翼の候補にはほかに西川、松山、バティスタ、下水流らがおり、激しい競争が予想される。