ソフトバンク和田毅投手(37)が「ノーシード」から巻き返す。15日に長崎市内での自主トレを公開。昨年1軍登板なしの大きな要因となった左肩の回復は順調。箱根駅伝では母校・早大が13年ぶりにシード権を失った。和田も横一線からのスタートで、先発ローテを「競争」でつかみ取ることを強調した。

2月に38歳になるベテランは若手の先陣を切った。109段の階段を軽快に登り、長崎らしい急勾配の坂もさっそうと駆けた。「箱根駅伝のランナーはこのまま20キロ登るのか」と感心しながら、衰えを感じさせない足取りで若手の笠谷、栗原ら「チーム和田」を引っ張った。

和田は箱根駅伝が好きで今年もテレビ観戦した。母校・早大の駅伝チームを率いる相楽監督は大学時代の同期でもあり、熱心に応援している。今年、母校は総合12位で13年ぶりにシード権を失った。「どうしちゃったんでしょうかね…。頑張ってほしい」と心配そうな顔を浮かべた。

百戦錬磨の左腕も、今年は同じ「ノーシード」からだ。昨季は1軍登板なしに終わった。先発枠を約束されていた今までとは違う。「肩が万全なら、まだまだやれると思う。先発ローテに入れたいと思える状態にして、使いたいと思ってもらえるピッチングをしたい。競争できる状態にしたい」。まずは横一線のスタートラインに立ち、ゼロから先発ローテーションをつかみに行く覚悟だ。

復活の鍵を握る左肩の状態はいい。約70メートルの距離で遠投をこなし、短い距離では鋭いボールを投じた。「6~7割くらいは(力を入れても)大丈夫。だいぶ感じは良くなってきている」。表情も明るい。ブルペンで捕手を立たせて投げることもできる状態だが、焦らない。勢いよく投げる若手を前にしても動じない。「ブルペンで8~9割で腕を振れるところまで行ってから入りたい」。好調だからこそ「去年は焦って、いやな後退をしている。自分で自分にブレーキをかけています」と慎重に調整を進めている。名門復活をかける母校駅伝部のように、輝きを取り戻す戦いが始まる。【山本大地】