期待のルーキーに、プロの技を示した。巨人坂本勇人内野手(30)が、ドラフト1位の高橋優貴投手(22=八戸学院大)とシート打撃で対戦し、中前打をマーク。厳しく制球された低めの直球をバットに乗せるように、はじき返した。このオフ、投打でリーダーだった内海、長野が人的補償で移籍。主将5年目を迎える大黒柱が、バットでも背中でもチームをけん引する。

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カウント2-1からの低めの直球に、坂本勇のバットがグッと伸びた。ボールを芯に合わせ、シャープに中前へ運んだ。「初めての実戦でしたが、うまいこと打てたと思います」。アマチュアでは未体験であろう高等技術。打たれた高橋の驚いた表情が、坂本のバットコントロールの高さを物語った。

守備でも存在感が際立った。遊撃で三塁の岡本と三遊間を形成。打球が飛ぶ度に声を張り上げ、守備陣を盛り上げた。外野手にも積極的に声を掛け、ダイヤモンドの中から全体を引っ張った。視察した侍ジャパン稲葉監督から「勇人がうまく岡本をいじってるなと。そういう関係性はいいなと感じた」と絶賛された。

絶対的なチームリーダーとして、大きな期待がかかる。このオフ、投打でリーダーを担った内海、長野が人的補償で移籍。「いろいろ思うところはあります。グラウンド内外で、2人が抜けたのは大きいので。でも、2人とも頑張れと言ってくれたし、頑張らないと」と強く誓った。

その思いは、すぐに行動に移した。宮崎入りした夜に新加入の中島、丸を誘って、亀井、陽と食事。串揚げを食べながら、チーム内のルールや細かな情報を伝えた。合同自主トレ最終日には選手会長の菅野と企画し、1軍メンバー全員で決起集会を開催。ルーキー高橋ら、新加入の選手との親睦を図った。

背中でも語る。キャンプ中は朝のアーリーワークから練習を開始。全体練習後、木の花ドームでの特打、ウエートトレと妥協なく、自らを追い込む。キャンプ4日目には「いつでも実戦に出られる準備はしています。今からでもいける」と宣言。調整のペースは早く、順調に仕上がった。

10日には、今季初実戦となる紅白戦に出場する。「今日は結果的にヒットを打てて良かったです。実戦では結果を求めてやっていきたいです」。主将5年目。名実ともにリーダーの顔に変わった。【久保賢吾】