育成契約の楽天由規投手(29)が“リフォーム”挑戦で完全復活に挑んでいる。ヤクルトでの昨年6月に痛みが再発した右肩の回復は順調だが、肩に負担をかけない理想の投球フォームを求め、沖縄・久米島での2軍キャンプは別メニュー調整。新たなユニホームの背番号「123」から早期支配下登録を果たし、生まれ故郷でもある仙台での復活登板への決意と計画を明かした。

  ◇     ◇    ◇

由規の1日は薄暗い室内練習場のブルペンから始まった。傾斜を平らにするために板を置き、ひたすら100球以上のネットスロー。久米島の太陽の下では、ようやく笑顔。仲間を横目に見ながら、遠投も50メートルを超えた。

由規 右肩の痛みは、もうありません。今は再発しないための理想的なフォームを体に染みこませ「また痛くなっちゃうかも」という不安を無くすこと。今までは腕を振って、速いボールを投げることに頼りがちだった。うまく下半身や体幹を使って、上半身に力を伝える形。肩の可動域をなるべく広げること、力を入れるタイミングなど、チェックポイントがたくさんある。

仙台育英時代の07年甲子園で当時最速155キロ。ヤクルトでの10年には当時日本人最速161キロを記録し、12勝を挙げた。だが、11年に右肩を痛め、13年に手術を決断。14年に復帰はしたが、不安を抱えたまま投球していた。昨年6月2日の楽天戦(楽天生命)で4回裏を投げ終えたのを最後に長期離脱し、戦力外通告。ヤクルトからは引退後のポストも用意されたが、プロ人生を地元仙台の復活にかけた。

由規 まだまだリハビリ組ですが、暖かい沖縄でペースを上げすぎないようにしたいと思っています。寒いところに行って逆戻りはしたくないので。もちろん焦る気持ちはありますけれど、欲張ってはダメ。1つ1つゴールに近づくことが大事。2月中旬には傾斜(ブルペン)で投げられるようになりたい。

育成選手の支配下登録は7月31日が期限だ。その前に2軍戦に登板し、結果も出さなくてはならない。楽天生命パークのマウンドでは喜怒哀楽を味わってきたからこそ、復活舞台としても思いも強い。高校時代はもちろん、11年5月20日には楽天田中将大投手(30=現ヤンキース)と投げ合い、死闘を演じた思い出もある。1-2で負けはしたが、互いの力を存分に出し合った中での自身への歓声。もう1度味わうことが、最大の活力でもある。

由規 仙台でマウンドに立つことは、今まで支えてくれたり、応援してくれた方への恩返しにもなる。赤系の楽天カラーは初めて。今までは青や紺やグレーなどが多かったので違和感しかない。でも、若い選手に活気があるし、自分も負けられない新鮮な気持ちにはなっています。

「剛」だけでない「柔」も生かした新フォーム完成の手応えはつかみつつある。夏までに「ニュー由規」を披露する。【鎌田直秀】