巨人の「シーサー」をつかみ取る。沖縄2次キャンプ3日目の15日、守護神候補の沢村拓一投手(30)がシート打撃に登板し、春季キャンプで初めて打者と対戦した。打者18人に1安打2四球9奪三振にも、走者二塁、カウント2-2の投手有利な設定に「感覚は悪くないですけど、1回しか投げてないので、何とも言えない」と控えめ。それでも、沖縄で家庭の守り神として家の屋根などに飾られるシーサーのごとく、力強く35球を投じ順調な調整ぶりをアピールした。

鋭い牙をといだ。先頭小林への2球目。外角低めのカットボールで、芯を外したバットを折った。150キロ超えの直球、スプリットへの依存脱却へ、昨季は使用頻度の少ないスライダー、カットボールの精度向上に努める。この日も2球種合わせて12球を投じ、反応を確認。「意図して投げきれない球もありますし、実戦の中で増やしていけたら」と発展途上ながら、進歩も実感した。

17年は右肩痛などで1軍登板なしも、昨季はチーム最多の49試合に登板。一方で1勝6敗、防御率4・64と絶対的な信頼はつかめなかった。原監督から先発転向も打診されたが、リリーフ専念を直訴。リーグワーストのチーム28セーブと課題の救援陣の立て直しへ、思いは人一倍強い。

16年セーブ王の投球に原監督は「非常によく映りましたね」と納得顔。新加入のライアン・クック(31=マリナーズ)も有力候補だが「ペナントレースは長い。仮に最初は違った形でも、いいコンディションでいてくれるというのは大事なこと」と備えあれば憂いなしだ。沖縄の地で進化する沢村が、9回を守りきる。【桑原幹久】