阪神藤浪晋太郎投手(24)が24日、中日とのオープン戦(北谷)に初登板したが、4回4安打3失点、6四死球が絡む大乱調だった。球場でWチェックした元横浜監督・権藤博氏(80=野球評論家)と元中日監督・山田久志氏(70=日刊スポーツ評論家)が緊急レジェンド対談。投手育成・起用に定評のある名伯楽が、藤浪再生法を語り合った。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

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山田氏 藤浪はとても合格点を与えることのできる内容ではなかった。特に走者を背負ってからはバラバラでした。

権藤氏 立ち上がりは「おやっ、面白いぞ」と思わせたんだが。相変わらずいい球はあるが、結果は厳しい。

山田氏 周囲も含めてフォームを気にしているのかもしれないが、もはやそういう問題でないのは明白ですね。

権藤氏 まず第一にテンポが長すぎる。1回に大島に四球を与えるが、その四球と、それ以降の四球は中身が違う。

山田氏 そこに心理の落差がみてとれる。やったものにしかわからないが、投手は非常にデリケートな“人種”で、精神的なところにかかる比重が大きい。

権藤氏 今、直すとしたらこれしかない。もっとテンポ良く投げることだ。考える時間が長すぎる。ちぎっては投げ、ちぎっては投げだよ。

山田氏 それもわかりますが、これまでみている限り、そんな器用なタイプでもないようにも思いますが…。

権藤氏 ブルペンは打者が立たないから投げられるが、マウンドではいろいろ考えるから乱れる。時間を置かず、打者に向かっていくことで拭い去りたい。

山田氏 フリーにやらせることも考えていいでしょうね。今の子に突き放すというと厳しいが、「やってみなさい」と見守るだけで、アドバイスも、なんにもしない。

権藤氏 それにおれが言いたいのは、3回で代えるべきだったということだ。なにも4回まで投げさせなくてもいいんだよ。

山田氏 その3回までも4四球を与えて不安定だったが、4回の木下拓に死球で、完全に崩れましたからね。

権藤氏 4回までと決めていたんだろうが、3回に崩れる兆しがあった。そこで止めてやらないと…。

山田氏 ええ。1回でも、2回でもいいから、“ここ”というところで降ろすのも手でしたね。

権藤氏 過保護といわれるかもしらんが、ここまできたら、うまく“キズ”を広げないように、そろりそろりといかんとな。

山田氏 それを言うなら、これまでもどこまでフォローができたのか? という疑問がある。そのプロセスに育て方があったと思うと残念です。

権藤氏 ほんとにピッチャーの心理って微妙なんだよ。オブラートに包むような育て方ができないもんかね。

山田氏 それがわかっていればやってますよ。何度もネット裏からみながら「もう少しやりようがあるのに…」と思っていましたから。

権藤氏 だんだん難しくなってきた。この素材の立て直し方が…。でもこれが現実だ。なんとかしたいな。

山田氏 ええ。あれだけのプロ入りから期待の大きかったピッチャーですから…。