阪神ドラフト3位の木浪聖也内野手(24=ホンダ)が27日、打ち上げを迎えた沖縄・宜野座キャンプの「準MVP」に選ばれた。実戦では全8試合で安打を放つなど打率4割7分6厘をマーク。守りでは本職の遊撃に加えて二塁、三塁、一塁にも就いたユーティリティープレーヤーを矢野監督が評価した。使い勝手のいい新人が開幕1軍へ-。3月のオープン戦でもアピールを続ける。

  ◇    ◇    ◇

こんがり焼けた肌から、充実の色がにじんでいた。木浪がプロ初のキャンプを無事に完走。強い体を作るだけでなく、首脳陣へのアピールにも成功。思い切りのいい打撃で実戦全8試合で快音を鳴らし、21打数10安打の打率4割7分6厘と株を急上昇させた。

「1番は最後までやり切ったこと。最初は不安だったけど、自信もついた。これからが大事。1日1日が勝負なので、できることをやっていきたい」

そんなルーキーに対して矢野監督は「本当に想像以上。レギュラー争いに十分入ってきそうな感じもします」と良い意味で“予想外”の活躍にうなり、キャンプMVPの北條に次ぐ「準MVP」の評価を与えた。

もっとも順調に結果を残しても、本人に慢心はない。「(打撃の)手応えは正直ある。だけど、まだまだ成長できる。これからも努力していきたい」。内野争いは激しい。本職の遊撃には同学年の北條、ベテラン鳥谷、三塁には4番候補の大山がいる。ただ、木浪はスローイングに定評があり、二塁、三塁、そして一塁も守れる。この日はシートノックで三塁、打撃練習中の内野ノックは糸原とともに二塁に就いた。内野ならどこでも守れるポリバレントなルーキーは、3月から本格的に始まるオープン戦で堂々とレギュラー争いに参戦する。

「(オープン戦は)結果が求められてくるので、結果をしっかり残すこと。(開幕で)1軍にいないと意味がないので。新人王を目指して、チームに必要とされる選手になっていきたい」

阪神の激しいポジション争いを演出している1人は「ダークホース」の木浪。キャンプ完走で第1関門を突破し、開幕1軍に向けて次なるステージでも存在感を示していく。【真柴健】

◇阪神浜中打撃コーチ(木浪について)「いい結果が出た。自分で考えてキャンプを送れたと言っていた。その成長はかなりあったと思う。自信になっていると思う」

<木浪の各クールごとのアラカルト>

◆第1クール シートノックで鳥谷らとともに遊撃に入る。

◆第2クール 大山とともに三塁でノックを受ける。紅白戦に「7番三塁」で先発し“プロ1号”の決勝3ラン。

◆第3クール 遊撃、三塁に加えて二塁で特守。「全てできるように与えられたポジションでやるだけ」。

◆第4クール 14日練習試合の楽天戦に5回の二塁守備から出場。7回2死三塁の第2打席で西口から適時打。17日の日本ハムとの練習試合は5回の三塁守備から出場し、6回無死一塁で痛烈な打球を右翼線に転がす二塁打。

◆第5クール 21日広島との練習試合はプロ初の一塁。中谷のミットを借りた。打撃ではマルチ安打。

◆第6クール 実戦全8試合で安打を放つなど活躍が認められ、矢野監督からキャンプ「準MVP」に選出された。

◆木浪聖也(きなみ・せいや)1994年(平6)6月15日生まれ、青森県出身。青森山田では中日京田とチームメート。亜大では1年秋と3年秋に神宮大会優勝。ホンダでは1年目から二塁、三塁を守り、2年目から遊撃手に定着した。18年ドラフト3位で阪神入り。178センチ、80キロ。右投げ左打ち。