フルスイング侍が鮮烈な代表デビューを飾った。「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2019」の日本-メキシコ戦第1戦に、吉田正尚外野手(25=オリックス)が5番DHで出場。初打席で先制適時打を放った。

初回2死一、三塁で、元日本ハムのL・メンドーサから痛烈な中前打で得点を刻んだ。試合は2-4で逆転負けしたものの、2020年に向けて強打の新星が存在感を示した。

一振りで圧倒的な存在感を示した。初球の内角直球を見逃し、カウント0-1からの2球目。メンドーサが投じた外角低めの直球をファーストスイングで完璧に捉えた。「先制点のチャンスだったので、ストライクが来たら積極的に打ちにいこうと思った。自分のスイングを心がけて打席に入りました」。思いが乗った痛烈な一打だった。

持ち前の対応力を存分に発揮した。1点を追う8回にも2死からフィリップスの外角低めの変化球を再び中前に運び、マルチ安打を記録。侍打線がメキシコ投手陣に苦戦を強いられている中「動く球を意識して少しポイントを入れるというか、つまっててもなんとか落とすことを意識しながらセンター方向にしっかり返していくことを心がけてました」と好打の要因を説明した。

3年目の昨季はオリックスの中軸としてプロ入り後初の全試合に出場。打率3割2分1厘、26本塁打、86打点で、ベストナインにも初選出された。今季も春から絶好調で、「センター方向へ強い打球を心がけています」と打球の滞空性を保つべく、ボールにスピンをかけることを意識してオフから取り組んできた。オープン戦はチームの4番として3試合に出場し、7打数3安打の打率4割2分9厘をマーク。好調の勢いそのままに代表に乗り込んだ。

11月のプレミア12、20年の東京五輪出場に向けて豊富な外野手の中、代表デビュー戦でアピールに成功。稲葉監督は「外野手にたくさんいい選手がいる中で活躍をしてくれた。こういう結果もふまえながら、どうしていくか考えていきたい」。現状外野手はソフトバンク柳田、西武秋山、DeNA筒香らがトップに君臨する。しかし秋山と筒香は、来季にもメジャーに挑戦する可能性があり、代表選出が不透明になると想定される。今回初選出の新星が光り輝いたことは今後の代表にとっても大きな前進となったに違いない。【古財稜明】