完敗にも、日本ハム栗山英樹監督(57)の声は明るかった。「早く準備して出来上がった状態で、ゆったり開幕したいと思うけど、これが野球」。20日ぶりの本拠地・札幌ドームは、攻守に波乱の展開となった。「札幌に帰って来て、選手の中にも(開幕が)ちらついている感じが見える」。どこか落ち着かない空気が漂う中、1週間後に迫った本番に向けて気持ちを引き締めた。

守っては、開幕2戦目で先発予定の金子が制球に苦しんだ。オープン戦最長の5回を投げて8安打5失点。百戦錬磨の右腕は「低めに投げたい気持ちから、頭が突っ込んで腕が振れなくなった。気がついて修正したかったけど、遅かった」と、冷静に反省の言葉を紡いだ。記録に残らない守備のミスもあり、マウンドで奮闘する背番号19を助けられなかった。

攻撃は、わずか1安打に封じられ、オープン戦12試合目で初の零敗を喫した。先発した技巧派左腕、石川を筆頭にヤクルト投手陣にもてあそばれ、たった打者28人の攻撃に終わったが、指揮官は「開幕の時にこういう風になるよりは、全然いい」と、前向きに捉えた。「プロだから打たなきゃダメなんだけど、緊張感が生まれたから良かったんだよ。公式戦だったら大変なことになる。それは、俺が言わなくても、選手たちが一番良く分かっているから」。開幕スタートを決めるため、この日の敗戦が最高の良薬になると信じている。【中島宙恵】