日本ハム中田翔内野手(29)が開幕戦に続いてチームを救った。オリックス2回戦(札幌ドーム)で、2点を追う9回2死満塁から起死回生の同点適時打を放った。

3回には開幕から2戦連発となる同点2号2ランも放つなど2試合連続で4打点。開幕2試合で計8打点を稼いだ4番の勝負強さで、敗戦濃厚の展開から今季初の引き分けに持ち込んだ。

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中田が三塁ベンチへ向けて力強い右アッパーをかち上げた。2点ビハインドの9回2死満塁。オリックスの守護神・増井の151キロ直球をはじき返すと、打球は中前に抜けた。同点2点適時打。一塁を回った主将が右拳を下から突き上げると、チームメートも総立ちで応えた。「たまたま甘いところに来た。強振するだけだった。もちろん1発は打ちたかったけど」。2試合連続のサヨナラ満塁本塁打でなくても、起死回生の一打に球場のボルテージは最高潮に達した。

序盤の劣勢を挽回したのも4番だった。2点を先行されていた3回2死一塁の場面で、2試合連発となる同点2号2ランを左中間スタンドへ突き刺した。「昨日もそうだけど、弾道が低いよね」。前夜のサヨナラ満弾と似た直線的なアーチ軌道に不満? 「でも、インコースの甘い真っすぐは頭に入れてたから、ラッキーだった」。狙い通りの打撃で、移籍後初先発で立ち上がりに苦しんだ金子を助けた。

これで開幕から2戦連続で4打点を稼いだ。早くも計8打点。栗山監督が「見た目以上に真面目」と語るように、開幕戦の試合前も緊張感に震えていた。同監督によれば「(観客入場時)のハイタッチ(イベント)の時から緊張していたんだよ」。故障で出遅れ、オープン戦初出場となった9日阪神戦(甲子園)の試合前も不安から素振りばかりしていたという。例年は開幕後も波に乗るまで時間がかかったが、すでに大きなプレッシャーに打ち勝った今季はひと味違う。

中田 打点はチームとしてのもの。粘って塁に出てくれる選手がいなきゃ、僕の打点はない。最後の打席、近藤の執念、気合の入ったヒットを見て、三振したのは情けない。

延長12回無死一塁での見逃し三振は悔いたが、チームは負けなかった。試合後は王柏融の取材で来日中の台湾メディアからも取材を受けると「僕が調子悪くなったら、ワンが代わりに打ってくれると思う」と憎いコメントも残した。チームスローガン「驀進(ばくしん)」をいきなり体現している主将は、本当に心強い。【木下大輔】