日本ハムは今季初黒星の中にも、新戦術への手応えを得た。2日、楽天1回戦(楽天生命パーク)で、栗山英樹監督(57)は加藤貴之投手(26)を「ショート・スターター」として起用した。無失点のまま3回で降板させ、4回からジョニー・バーベイト投手(26)に継投し、2人で6回1失点と試合をつくった。打線が楽天投手陣の前に3安打と沈黙し、勝利はできなかったが、今後へ向けて投手起用の可能性が広がる1戦だった。

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試合は負けたが、戦略ははまった。栗山監督は「今日の試合で一番勝ちやすい形は何なのか(を考えた)。本当に狙い通り」と振り返った。先発加藤、2番手バーベイトに3回ずつを任せてゲームメークするプラン。「加藤の特長が一番出る形なので」と、立ち上がりがいい左腕を「ショート・スターター」として起用した。

3回1安打無失点の加藤は、試合後証言した。「(投手コーチの)木田さんが3回が終わった時に(交代を告げに)来たので」。役割を知ったのは、そのときだったという。1回には雪で22分間の中断。極寒の状況下でも集中を切らさなかったのは、新戦術を意識させず、自然体でマウンドへ送った首脳陣の配慮も功を奏したと言える。2人で6回1失点。「先発」としては十分な内容だった。

開幕3連戦は延長戦もあり、中継ぎ陣はフル稼働。この日から6連戦というチーム事情もあって、ブルペンの負担増も避けたかった。打線が沈黙し惜敗。栗山監督は「結果は負けているから」と現実を受け止めつつも「こっちは批判覚悟。オレは常識を疑えば、新しいものが生まれるはずだと思って野球をやっているだけなので」。少なからず手応えを感じられる内容ではあった。

4日同戦でも再び、開幕戦で中継ぎ登板した斎藤を「ショート・スターター」として起用する見込み。すでに1軍合流している上原も含め、実力がある先発タイプの投手を、斬新な起用法で生かしていく継続的な戦略。悔しい黒星に変わりはないが、今後へ向けて楽しみが広がる一戦だった。【木下大輔】

▼日本ハム栗山監督が、3回無失点の加藤に代えて、同じく先発投手のバーベイトを2番手で起用した。メジャーでは昨年、救援投手を先発で起用し、2回以降に本来の先発投手に継投する「オープナー」が話題を呼んだが、「先発投手→先発投手」は日本ハムの新アイデア。一般的に、打者は2巡目、3巡目と対戦を重ねればボールに慣れてくると言われ、また投手のスタミナも落ちてくるため、ひとまわりごとに投手交代することで被打率を抑える可能性が高まる。