<ヤクルト5-2DeNA>◇2日◇神宮

プロ入り初登板で初勝利はお預けになったDeNA上茶谷大河投手だが、今季の新人王最有力候補なのは間違いない。7回1失点の結果も上出来だが、なによりも内容がいい。

新人離れした制球力は、目を見張るものがあった。とにかくストライク先行の投球。打者が絶対に有利とされるカウント2-0と3-1になったのは、7回2死から代打に出た大引の打席だけ。度胸よく、怖いもの知らずで攻める新人投手はいるが、上茶谷の投球内容には「打者を抑える根拠」が詰まっていた。

打者有利のカウント1-0と2-1から、直球でもカットボールでも勝負できる強みがある。そのカウントは合計16回あったが、カットボールが7球で直球が7球。ストライクが取れるというだけでなく、ゾーンの中で勝負できる球種が2種類あれば、打者は狙い球を絞りにくくなる。しかもスリークオーターから投げる直球には横の角度があり、ずれるように曲がるカットボールとの相性は抜群。打者は見極めるのが難しいだろう。

フルカウントは7回あったが、直球は1球だけ。6球投げているカットボールの方が、自信があるのだろう。クイックモーションも合格点で、けん制球もまずまず。やや腕が振り遅れ気味に出るため、肩や肘に負担がかかりケガの心配は残るが、シーズンを通して投げられれば2ケタは勝てそう。

ちなみにヤクルト打線が上茶谷から奪った得点は青木の1発だけ。青木に対してはスプリットやスライダーなど、他の打者にあまり投げていない球種を織り交ぜていたが、スプリットを本塁打され、1番の武器になるカットボールを二塁打されている。内角に切れ込んでくる球を得意にする青木は“上茶谷キラー”になりそうだ。【小島信行】